開花期迎えたサクランボ、結実対策怠りなく 県がキャラバン・人工授粉、積極的に

人工授粉の実演を行った出発式=山形市黒沢

 サクランボの開花期を迎え、県は結実対策の徹底を呼びかけている。昨年は開花後に凍霜害が発生し、結実不良が懸念されたが、人工授粉などを生産者に促していたことで平年並みの収穫量を確保できた。16日は山形市内の園地で広報キャラバンの出発式を行い、高品質なサクランボの生産に向けて機運を高めた。

 県によると、花の咲き始めは4月15日現在、大玉新品種「やまがた紅王」、県奨励品種「紅秀峰」ともに今月12日で、平年より4~5日早い。主力品種「佐藤錦」は15~17日ごろの見込み。各品種の満開期は18~21日ごろ。

 サクランボは発芽後、霜に当たると雌しべが凍って枯死し、実を付けなくなる。近年は凍霜害をはじめとする天候不順で収穫量が安定しない年が続いており、県は人工授粉などを積極的に行うよう促している。昨年は生育が進む4月下旬に凍霜害が発生したが、平年並みの約1万3千トンを確保できた。県園芸大国推進課は「人工授粉の効果があった」と分析する。

 県は開花期のおおむね7日間が今年の作柄を左右する重要な時期で、人工授粉を最優先に行うよう推奨している。少なくとも五分咲きの際と満開期の計2回実施し、凍霜害に遭った樹木などは重点的に作業をすることが重要とする。

 広報キャラバンは毎年行っており、今年は生育が早いことから、例年より前倒しで展開する。出発式は山形市黒沢の園地で行われ、各主産地のJA職員らが参加。毛ばたきなどによる人工授粉を実演して作業のポイントを確認した。園地を管理する小笠原穂積さん(54)は「人工授粉はやればやるだけ効果がある。順調にきているので、良いサクランボを作りたい」と話していた。

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