全米巡回した「PlayStationトレーラー」、約1000万円で販売中。別名「動くE3会場」

Image:Arthur Vandelay/Facebook

ソニーは1990年代後半から2000年代にかけて、「PlayStation Experience Truck」と呼ばれる18輪の大型トラックで全米を巡回していた。トラックが停車すると側面が展開されてゲーム機とディスプレイがずらりと姿を現し、ファンはその場で新作や発売予定のゲームを体験できた。

その2006年製トレーラーが、Facebookマーケットプレイスに7万ドルもの価格(約1080万円)で売りに出されている。

出品者はこれが貴重なゲーム史の資料とは知らないらしく、単に「1999 Craftsman double expandable stage」として出品。説明文のどこにも、PlayStationに関する言及はない。「数年間使えなくなっていたトレーラーを倉庫から持ち出した」「両側の壁はステージデッキが折りたたみできる」と素っ気ないテキストがあるだけだ。

タイヤが乾燥していて腐っているため交換の必要があるほかは、油圧機構もすべて動作し、右後方ドアにある車椅子リフトも故障はなく、当時のまま使えるようだ。

Image:Arthur Vandelay/Facebook

商品写真を見るかぎり、至るところにかつてのPSマークや「PlayStation 2」のロゴ、PSPのイメージがあしらわれており、タイトルや説明にPlayStationを含めなかったのが不思議なほどである(おかげで見つけるのに苦労したとの声もある)。

Image:Arthur Vandelay/Facebook

このトラックは全米を駆けめぐり、スポーツイベントや音楽フェスティバルなど、大勢の人が集まる場所に設置された。そこで見物客にPlayStationゲーム機やソフトをプレイしてもらうという、いわば「動くE3」の役割を果たしていた。

日本でいえば、かつて存在したゲームメーカー・ハドソンが全国に走らせたキャラバンカーに近そうだ。高橋名人と共に全国の子供達を大いにわかせた黄色い改造車だが、今見れば小ぶりな印象である。

The PlayStation Experienceの現役時代は、PlayStation公式サイトのWayback Machineアーカイブで確認できる。そこには「GT4」のレーシングシート付き試遊台や円状に並べられたPSP、懐かしのPS2用オプション機器EyeToyなどが確認できる。

4月17日時点では、まだ買い手は現れていないようだ。日本に輸入するのはかなりハードルが高そうではあるが、熱心かつ富裕なゲーマーが購入し、レストアして勇姿を再現してくれると期待したいところだ。

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