「収益目的の撮影はお断り」宇都宮駅に貼り紙 乗客映り込みで苦情、JR東が「お願い」

宇都宮市内のJR宇都宮駅で、収益目的の動画撮影をお断りするとした駅長名の貼り紙があったと、X上で写真が投稿され、注目を集めている。

貼り紙によると、駅構内での撮影による客同士のトラブルも発生しているという。その状況について、JR東日本大宮支社に話を聞いた。

「駅構内での撮影により、お客さま同士のトラブルが発生」

「当駅では収益性のある動画共有サイトなどへの投稿を目的とした撮影行為はお断りしております」

階段横の壁に出された貼り紙は、赤く強調して縁取りされ、「お願い」と題して、こんな注意喚起が記されていた。

続いて、「また、駅構内での撮影により、お客さま同士のトラブルが発生しているため、当駅でも巡回を行っております」と締め括られていた。

この貼り紙を撮った写真は、2024年4月14日にX上で投稿され、投稿者は、ユーチューバーに当てたものではないかと推測した。

投稿は、1万件以上の「いいね」が集まっており、駅で撮影しているのは何者なのかなどについて、様々な声が寄せられている。

ユーチューバーなら、少し前に逮捕者も続出した私人逮捕系ではないかとの推測が出た。また、ホームでの罵声大会も報じられた撮り鉄かもしれない、との声も多かった。

貼り紙について、「よほどのことが起こったんですかね」「何があったのか気になる」との声が上がる一方で、その効果については、「そういう奴らは読まないんだよな」と否定的な向きもあった。

JR宇都宮駅については、17年8月にX上で「迷惑行為(撮り鉄)を社会から追放しましょう」「駅構内での撮影を禁止して欲しい」との呼びかけがあり、賛否両論になったことがある。同駅で新幹線を降りてホームを歩いていたところ、撮り鉄らしき人物に「邪魔だ」との暴言を吐かれたのがきっかけだという。

今回の貼り紙投稿を受けて、鉄道ファンとみられるX上の反応が相次いでおり、「収益あかん言われらしょうがない」「今後、極力宇都宮駅の利用は避けさせていただく」といった声が漏れていた。

「動画に自分が映り込んでいる」「黄色い線の上で動画を撮影」

収益目的の撮影行為については、JR東日本がそもそも公式サイトで禁止を明記している。サイト上の「Q&A」では、「個人の営利活動における駅や列車内など弊社の保有する施設内での各種撮影はご遠慮をいただいております」とあった。

また、「収益性のある動画共有サイト投稿などの営利活動を除いた個人的な趣味等での撮影に関しては、安全上の問題がなく、ほかのお客さまのご迷惑にならなければ、特に禁止をしているということはございません」としたうえで、「他のお客さまとの間でトラブルになるといった事象も考えられますので、十分ご配慮いただきますようお願いいたします」と呼びかけている。

宇都宮駅の貼り紙について、JR東日本大宮支社の広報室は4月17日、J-CASTニュースの取材に対し、2月下旬から新幹線の改札内にある階段やホーム上の待合室など数か所で掲示していると答えた。

そのうえで、掲示した理由については、次のように説明した。

「鉄道ファンの行為かどうかは分かりませんが、収益性のある動画共有サイトのTikTokにホーム上で新幹線の車両などを撮影した動画が複数回投稿されていました。また、新幹線のホーム上で黄色い線の上に立って撮影する方を認めましたため、注意喚起するために貼っています」

どんなトラブルが発生しているかについては、こう答えた。

「ホーム上で新幹線を待っておられたお客様から、動画に自分が映り込んでいると、問い合わせセンターに意見が複数回ありました。また、黄色い線の上で動画を撮影している人がいるとのお声も複数回ありました」

動画の撮影は、新幹線のホーム上だけで、在来線については聞いていないという。私人逮捕系ユーチューバーについては、そのような情報はないとしている。

貼り紙の効果について、「掲示してから、特に意見は聞いておらず、今のところ落ち着いています。駅員も動画撮影者を見かけないと言いますので、効果は出ていると思います」と話した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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