【葬儀のマナー】宗教によって異なる「香典袋」の正しい選び方は?50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識

通夜や葬式でお金を包む際に大切なのが香典袋です。宗教や宗派によって異なることも多いため、あらかじめ基本的なところは知っておきたいですね。マナーを心得ておくと、気持ちがきちんと伝わります。現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんに教わりましょう。

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葬儀や法事など不祝儀でお金を包む袋を金封、香典袋ともいいます。香典袋のポイントは水引です。不祝儀は基本的に繰り返さないことが望ましいので、結びきりの水引を使います。のしは慶事の象徴ですから、不祝儀ではつけません。

最近では、祝儀、不祝儀とも一般的な金封が使われることが多くなりましたが、宗教や宗派によって異なるものも多く、地域によっても独特の決まりごとがある場合も。

冠婚葬祭では、気持ちが伝わることが大切なので、一般的な金封でも問題ありませんが、親族などで宗派がわかる場合には、最適なものを用意するといいでしょう。

基本の不祝儀袋

一般に香典袋と呼ばれるもので、葬儀や法要でお金を包むとき、宗教を問わず使えます。不幸は繰り返したくないので、水引は結びきりです。

水引の格式は高い順に、双銀→黒白→水引を印刷したものです。金額に応じて使い分けましょう。

水引…黒白または双銀の結びきり
のし…なし

1万円以上包むとき

奉書紙に黒白または双銀の水引を。

7万円以上包むとき

檀紙に黒白または双銀の水引を。

数千円または郵送するとき

印刷の金封で。

その他の不祝儀袋

仏式専用

はすの花が印刷された袋

はすは、仏の知恵や慈悲の象徴とされる花ですから、神式、キリスト教式の葬儀には使えません。

神式専用

白い水引を使った袋

神式の場合の水引は、黒白、双銀、双白のいずれでもかまいませんが、双白を使うのは神式だけです。

キリスト教式専用

ゆりの花が印刷された袋など

キリスト教式の葬儀ではゆりの花や十字架のついた専用の袋か、白封筒を使います。実際には、黒白の水引の不祝儀袋でも失礼ではありません。

地域限定

黄色と白の水引の袋

京都や京都の文化が伝わる地域では、黄白の水引を用います。現代では、葬儀に黒白、法要には黄白を用いることが多いようです。

多目的に使う白封筒

僧侶など宗教者へのお礼やお車代、御膳料(お食事代という意味)、お布施などは一重の白封筒に入れます。郵便番号のない真っ白なものを使うこと。白地の金封も売られています。

※この記事は『50代からの冠婚葬祭きちんとマナー』岩下宣子監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年8月17日に配信した記事を再編集しています。


監修者
現代礼法研究所主宰 岩下宣子

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

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