「iPhone 17 Pro」3nmチップ継続の可能性。処理速度や電力改善は限定的か

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台湾TSMCは2nmチップの量産開始を競合他社に先がけ、初期の生産ラインはアップルが独占するとみられている。その使い道は、具体的には2025年の「iPhone 17 Pro」に搭載される「A19 Pro」という具合だ

しかし、A19 Proは引き続き3nmプロセスに留まりつつ、改良版の技術が使われると市場調査会社Trendforceが予想している。

iPhone 15 Proモデル搭載のA17 Proチップは、TSMCの第1世代3nmプロセス「N3」により製造されている。今年秋に発売とみられる次期フラグシップiPhone用の「A18 Pro」には、第2世代の「N3E」が使われることも著名アナリストらが伝えてきたことだ。

A19 Proは「N2」により量産されるとのインサイダー情報もあったが、今回のレポートでは「N3P」が採用されるという。N3PはN3Eの光学的縮小版であり、チップ密度が1.04倍に向上。N3Eよりも高い性能を提供しつつ、同じクロック速度で5~10%の省電力化を実現するという

TSMCは2024年末までに3nmウェハーの生産量につき、月産10万枚を目指しているとの報道もあった。今回のレポートは、TSMCは2nmプロセスの展望も広げたいと考えていると伝えている。

実際、新竹県宝山郷の2nm工場の準備も順調に進んでおり、高雄の別工場も急ピッチで建設中だそうだ。それらの稼働は2024年内に予定されており、両工場の初期生産能力は3万~3万5000枚とのこと。2027年末には、10万枚に達する可能性があると述べられている。

これらTSMCの2nmプロセスにとって、最初の顧客はやはりアップルだという。そして「TSMCの2nmプロセスを活用した初のコンシューマー向け製品は、2026年発売」と予想されている。

つまり2026年の「iPhone 18 Pro」搭載SoCが、世界初のスマートフォン・PC向け2nmチップになる可能性があるようだ。

TSMCは「N2」は「N3E」よりも同じ消費電力で10~15%の速度向上、または同じ速度で25~30%の省電力が期待できると公称している。A19 Proの製造技術が「N3P」だとすれば、少なくとも2年ほどは、iPhoneの処理速度や省電力性能に大きな飛躍はなさそうだ。

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