「再犯したら実刑をくらう…」弱々しい姿で法廷に 志賀町・小泉勝前町長に有罪判決

石川県志賀町が発注した公共土木工事の入札をめぐり、業者に最低制限価格を教えた見返りに現金を受け取ったとして加重収賄などの罪に問われた前町長の小泉勝被告(57)に対し、金沢地方裁判所は17日、懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。

判決公判が開かれた17日午後、金沢地裁の裏口に車を横付けし、小泉被告は撮影の報道関係者を気に留める様子もなく足早に裁判所に入りました。

小泉被告は、3件の公共土木工事の入札で、秘密事項である最低制限価格を教えた見返りに、業者から現金合わせて110万円を受け取ったとして、加重収賄などの罪に問われています。

これまでの裁判で小泉被告は、親戚同様の付き合いをしていた知人に最低制限価格を教えるよう持ち掛けられたと明かし「選挙で応援してもらおうと、心の弱い所があった」と述べていました。

白髪交じりの茶髪、紺のスーツにストライプのネクタイを着けた格好で、小泉被告は被告人席に座るとうつむいたまま肩を落とした様子でした。

17日の判決公判で金沢地裁の野村充裁判長は、「私腹を肥やした犯行態様は悪質で、競争入札の公正さや町政に対する信頼が大きく害された」と指摘しました。

一方で、賄賂が高額とはいえず、すでに町長を辞職し再犯のおそれが低いなどとして、懲役3年・執行猶予5年、追徴金110万円の判決を言い渡しました。

判決を言い渡されても、小泉被告は変わらず肩を落としうつむいたままでした。

野村裁判長が、認められた犯罪事実と量刑の理由を一通り述べた後、小泉被告とのやりとりが始まりました。

野村充裁判長「内容はわかりましたか?」
小泉勝被告「(か細い小声で)はい」
野村充裁判長「執行猶予はどんな刑かわかりますか?」
小泉勝被告「はい」
野村充裁判長「どんな刑ですか?」
小泉勝被告「刑の執行が5年間猶予される…」
野村充裁判長「その間に再犯した場合は?」
小泉勝被告「(小さくかすれるような声で)実刑をくらう」
野村充裁判長「絶対に再犯をしないでください」
小泉勝被告「わかりました」

野村裁判長の方を向きながら、小泉被告は終始小さな声で受け答えをしていました。

閉廷後、すぐに裏口に向かい外に出てきた小泉被告は、横づけした車にすぐに乗りこみ裁判所をあとにしました。終始記者の問いかけには応じず、肉声で語られることはありませんでした。

小泉被告は弁護士を通じてコメントを発表しました。

小泉勝被告コメント全文「本日の判決を真摯に受け止めております。これまで多くの方々にご迷惑をおかけし、ご不快な思いをさせてしまったことを心からお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」

貞弘賢太郎弁護士コメント「小泉氏及び弊職のいずれにおいても、判決内容に不服はございませんので、控訴はいたしません」

在職中の町長が逮捕され、有罪判決が下される事態になりましたが、志賀町の稲岡健太郎町長は「今回の判決を厳粛に受け止め、二度とこのような事態を招くことのないよう、常に自ら襟を正すことはもちろんのこと、職員の服務規律、法令遵守の更なる徹底を図り、厳正な町政運営に努め、引き続き、町民の皆様の信頼回復に向けて、全力で取り組んでまいります」などとコメントしています。

クリーンな町政を訴え2009年に町長に就任した小泉被告でしたが、その思いと行動が一致しなかったと、司法は結論づけました。

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