「日本人まじで余裕無い」産休クッキーにママチャリ逆走ネキ「ネット炎上の恐怖」 一般人が一夜にして「罪人扱い」の異常

ママチャリ逆走ネキ…ネット炎上の恐怖 (photoAC)

ここ数日、Xをにぎわせている2つのワードがある。

1つ目は「産休クッキー」、2つ目は「ママチャリ逆走ネキ」というもので、いずれもネガティブな方向で拡散され、Ⅹユーザーの注目を集めているものだ。

「『産休クッキー』については、あるユーザーが《職場の人に配るクッキーの赤ちゃんがかわいい》というメッセージとともに『産休をいただきます』という文字が描かれたクッキーの画像をアップしたことが発端です。特に炎上する要素は見当たらないほほえましいポストなのですが、これに“不妊で悩んでいる人や仕事上の負担が増加する独身者への配慮が足りない”という意見が寄せられたことをきっかけに、賛否が入り混じる炎上状態になりました。

また、『ママチャリ逆走ネキ』は、青信号を直進しようとしていた車の前にあらわれた子乗せ自転車に乗った一般女性を指し、女性が車道を逆走して右折進入してきたところをとらえたドライブレコーダー映像がネット上に拡散したことで炎上。女性がマスクを外してドライバーに向かって何か叫んだり、スマホを取り出して撮影するような素振りをしていたことから、ますます火に油を注ぐ形になってしまいました。

確かにドライバー側からすればかなりヒヤッとする場面ではありますし、後ろに乗っていた子どもの安全面も考えると褒められた行動ではありませんが、モザイク処理をせずに一般人をネット上にさらす行為自体はもちろん、行き過ぎた誹謗中傷や過剰な特定行為は絶対に許されるべきではありません。

現在ネット上には、女性の身元や家族構成、夫の勤務先といった真偽不明の情報が出回っており、当人や家族からすれば身の危険を感じかねないレベルではないかと思います」(夕刊紙デスク)

ひと昔前は“炎上”の対象になるのは公の場に出る有名人が中心だったが、ここ最近は、こうして一般人すらつるし上げの対象とする《ネット私刑》的な投稿が横行している。

■「名もなき正義の暴走」がますます深刻化

「前者の一件は《過剰な配慮》が求められるようになった世相を象徴的にあらわしていると思います。一方、後者の一件からは、以前から言われている“名もなき正義の暴走”がますます深刻化していることが見て取れますし、行き過ぎたバッシングや特定行為には《配慮の欠如》が顕著です。都合よく配慮を求め、都合よく配慮を棚上げするというダブルスタンダードが進行しているように思えてなりません。

また、2つの炎上の内容や程度は異なりますが、共通しているのは、これまで普通の生活を送っていた人間が一夜にしてまるで罪人のような扱いを受けていること。ともすれば、デジタルタトゥーとしてネット上にずっと刻まれてしまうことになります。

いつ自分がその立場になるかわからないからこそ、この投稿は誰かを傷つけることにならないか、そして“批判”と“誹謗中傷”の区別がしっかりつけられているか、投稿する前に一度冷静になって考えてみてほしいですね」(前出の夕刊紙デスク)

《日本人まじで余裕無いんだなと心底思うわ》というあるユーザーの一言に、全てが集約されているように思える2つのネット炎上事件。不寛容さばかりがきわだってしまっている――。

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