高齢妻の遺体2年9カ月キャリーバッグに 隠した84歳夫有罪判決

大津地裁

 滋賀県高島市の救護施設でキャリーバッグの中に遺体を入れて隠したなどとして、死体遺棄の罪に問われた無職の男(84)の判決公判が17日、大津地裁であった。谷口真紀裁判官は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

 判決によると、息子の被告(53)と共謀して2021年4月9日ごろ、大阪市内で妻の遺体をキャリーバッグ内に入れ、今年1月9日までの間、同市のホテルや高島市の救護施設などに持ち運んで隠した。妻は死亡時に83歳だった。

 谷口裁判官は判決理由で、男はローン滞納で住居を失った後、公園などで生活する中で妻が死亡し、責任を問われるのを恐れて生きているように装ったと指摘。約2年9カ月にわたって遺体を隠した点に触れ、「死者の尊厳を害する程度は大きい。短絡的な経緯や動機にくむべきところは乏しい」と非難した。

 一方、生活保護をはじめ公的支援を受ける体制が整っているなどとして、社会内で更生を図るのが相当と判断した。息子の判決は5月8日に言い渡される予定。

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