トヨタ トヨペット・コロナマークII 1900HT GSS(昭和44/1969年9月発売・RT75型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト053】

この連載では、昭和30年~55年(1955年〜1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第54回目は、トヨタのツインカムシリーズの緒となったトヨペット・コロナマークIIの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

今日のトヨタのツインカム路線につながる先駆的モデル

マークIIはコロナの新シリーズとして昭和43 (1968)年9月 に 登 場 し た。 コ ロ ナ の1500/1600に対して、マークIIは1600/1900でスタート。型式はT60/70と呼ばれた。半年前の昭和43年3月にデビューした日産のハイオーナーカー、ローレル1800に対抗するシリーズと見る向きも多かった。

エンジンはマークII1900SLの8R型(SOHC)を改良、 DOHCとした10R型。トヨタの高性能エンジンの定番となったソレックスキャブを2連装して、パワーを引き出した。

ボディは好評だったRT40系コロナの“アローライン”のイメージによく似たスタイルで、コロナよりひとまわり大きかった。このマークIIシリーズに発売1年後の昭和44(1969)年9月から追加設定されたのが、DOHCエンジンを搭載した1900HT GSS (RT75)である。

エンジンは110psの8R型1900ccSOHCをベースに、ヤマハ発動機のチューニングによってDOHC化された10R型。直列4気筒で排気量は1858cc、ソレックスのツインキャブを装備して最高出力140psを発生した。

これを2ドアHTのボディに組み合わせ、足回りはシリーズ最高級モデルのHT GSLをさらにチューンしたものとなっていた。トランスミッションはポルシェタイプの5速フルシンクロで、最高速は200km/h、0→400m加速16.6秒をマークした。

ブラック基調でまとめられたスポーティなコクピット。速度計は210km/hスケール、回転計は7000rpmからがレッドゾーン。そこから見てもGSSは並のマークIIとは違っていた。

昭和46(1971)年2月、10R型エンジンの呼称を8R-G型に変更、型式をRT72に改める。新しいデザインのフロントマスクは「イーグルマスク」と呼ばれた。昭和47(1972)年1月のフルモデルチェンジで2代 目X10/X20が 登 場。2000ccの18R-G型が投入され、マークII 1900GSSは2000GSSに進化した。以降、トヨタのミドルクラスの顔として引き継がれていく。

トヨタ トヨペット・コロナマークII 1900HT GSS(RT175型)諸元

●全長×全幅×全高:4295×1605×1385mm
●ホイールベース:2510mm
●車両重量:1050kg
●エンジン型式・種類:10R型・直4DOHC
●排気量:1858cc
●最高出力:140ps/6400rpm
●最大トルク:17.0kgm/5200rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:6.45H-14 4PR
●新車価格:106万2000円

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