「30代における貯金と投資の割合を知りたい」「投資をすべきか知りたい」という人もいるでしょう。
住宅購入や出産など、30代はお金のかかるライフイベントが多い年代です。
この記事では、30代の貯金と投資の割合や、30代向けのおすすめの投資方法について解説します。
この記事でわかること
- 30代の貯金と投資の割合
- 貯金を投資に回すメリットと注意点
- 30代におすすめの投資方法
30代の貯金と投資の割合は?
ここでは30代の貯金と投資の割合について、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」を元に、以下の項目について解説します。
- 30代の金融商品保有率と貯金の割合
- 30代の平均貯金額
- 30代の平均投資額
- 30代が毎月投資に回す割合
- 30代がボーナス月に投資に回す割合
- 30代の貯金と投資の割合の目安
30代の金融商品保有率と貯金の割合
30代で金融商品を保有している割合は、以下の通りです。
- 金融商品を保有している:6%
- 金融商品を保有していない:4%
30代の約7割が金融商品を保有していることがわかります。
続いて、金融資産保有額を見てみましょう。
金融資産保有世帯と、金融資産非保有含む世帯で大きな差があります。平均値は一部の大きな数値に影響されるため、中央値を目安にするとよいでしょう。
次に、30代の金融商品保有世帯の金融商品の内訳を見てみましょう。
保有している金融商品の割合を見ると、預貯金が約5割となっていることがわかります。
30代の平均貯金額
次に、30代はいくら貯金をしているのか、平均貯金額を見てみましょう。
- 金融資産保有世帯:408万円
- 金融資産非保有含む世帯:286万円
金融資産保有世帯の方が、金融資産非保有世帯よりも貯金額が多いことがわかります。
30代の平均投資額
30代の投資額は以下の通りです。金融資産保有額から預貯金を除いた金額になります。
- 平均値:448万円
- 中央値:175万円
下表は金融資産保有世帯が、いくら保有しているのか金額ごとの割合を表しています。(例:3000万円以上は全体の5.6%)
3000万円以上を保有している世帯が一定数いるため、前述の通り平均投資額は800万円程度になっています。しかし金額ごとの割合を見ると、300万円未満の世帯が約50%を占めています。
30代が毎月投資に回す割合
下表は、30代の男女が毎月何%投資に回しているのか、割合ごとに示しています。
調査結果を見ると、10%未満(金融商品に回していないを含む)」の割合は、30~34歳男性が56.2%、35~39歳男性が62.5%、30~34歳女性が46.8%、35~39歳女性が49.7%でした。男女ともに投資意識は高くないといえるでしょう。
30代がボーナス月に投資に回す割合
通常月と比較して、収入の多い月は投資に回せる金額が多いのか確認しましょう。
30代がボーナスから投資に回す割合は、以下の通りです。
通常月と比べて、ボーナス月は50%以上投資に回す割合が増えています。
30代の貯金と投資の割合の目安
30代が投資と貯金の割合をどう配分するべきなのか、目安の割合を紹介します。
三菱UFJ銀行によると、30代の保有金融商品の割合は次のようになっています。
資産運用を行っている人のほとんどが円預金で、投資の割合は16%に収まっています。
30代が投資をするメリット
30代が投資をするメリットは、以下の通りです。
- 預貯金よりも資産を増やせる可能性が高い
- ライフイベントに備えられる
- 万が一働けなくなったときに備える
- 家計を見直すきっかけになる
預貯金よりも資産を増やせる可能性が高い
投資をすると、預貯金よりも資産を増やせる可能性があります。銀行預金の金利は低いため、預貯金をしていても資産を増やせないためです。
例えば、預貯金と代表的な投資の利回りを以下で確認してみましょう。
普通預金では100万円預けると、10年間で利子は2万180円です。一方で株式投資は、預金に比べると大きな運用益が期待できます。
下表は、100万円を5%複利で10年間運用した場合のシミュレーションです。
シミュレーション通りなら、10年間で62万8895円増える計算です。ただし、投資は確実に増えるわけではなく、元本割れする可能性もあることは理解しておきましょう。
ライフイベントに備えられる
30代から投資を始めると、ライフイベントにかかるお金を準備できます。
主なライフイベントの例は、以下の通りです。
- 転職
- 結婚
- マイホーム購入
- 出産
- 子どもの進学
- 退職
- 老後
ライフイベントのお金に関しては、こちらの記事『ライフプランの作り方とは?無料テンプレートでライフプラン表を作成する方法』でも解説しているので、参考にしてください。
万が一働けなくなったときに備える
30代から投資をしておくと、万が一働けなくなった場合にも備えられます。病気やケガなどで収入を確保できなくなったとき、預貯金や投資で資産があると安心できます。
日本の医療保険制度は充実していますが、それだけでカバーできるとは限りません。30代から貯蓄に取り組み、資産を増やしておきましょう。
家計を見直すきっかけになる
30代で投資を始める場合、あらためて家計を見直すきっかけになります。理由として投資は、預貯金や毎月の収入から賄うからです。
毎月の収支が把握できていないと、投資は始めるべきではありません。投資は支出よりも収入が上回っている前提で行うため、家計を見直す必要があります。
30代におすすめの投資方法
30代におすすめの投資方法は、以下の通りです。
- 投資信託
- 株式投資
- 財形貯蓄
- 個人向け国債
投資信託
投資信託は、複数の投資家から資金を集めて専門のファンドマネージャーが運用し、株式や債券、不動産などに分散投資する商品です。
簡単にいえば、金融商品の詰め合わせセットと思うとわかりやすいでしょう。投資信託のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
- 投資先を分散できる
- 投資初心者でも始めやすい
- NISAやiDeCoで税金が優遇される
デメリット
- 保有期間に手数料が発生する
- 元本割れのリスクがある
- 種類が多く選択に迷う
投資信託は、投資のプロに運用を任せるので、投資初心者でも購入しやすい金融商品です。加えて、NISAやiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)を活用すれば、税制面も優遇されます。
株式投資
株式投資は企業の株式を購入して、以下の恩恵を得られる投資手法です。
- 配当金
- 株主優待
- 売却益
株を売買して売却益を得るだけでなく、保有すると配当金や株主優待を受けられる銘柄もあるので、目的に合った企業を調べるとよいでしょう。
株式投資のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
- 配当金を得られる
- 株主優待が受けられる
- 株価が上がれば値上がり益が得られる
デメリット
- 元本割れのリスクがある
- 配当金以上に含み損を抱える可能性がある
- 企業が倒産すると、価値がゼロになる
株式投資は知識と経験が必要です。配当や株主優待の有無を調べて、無理のない範囲での運用を考えましょう。
財形貯蓄
財形貯蓄とは、国と会社が従業員の財産形成を支援するための制度です。勤めている会社で導入されている場合に加入することができます。
財形貯蓄は給与天引きで、毎月一定額を自動的に貯蓄できます。
財形貯蓄には、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類があります。
財形貯蓄のメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット
- 給与から天引きできる
- 非課税措置がある
- 給付金が支給される
デメリット
- 金利が低い
- 現金化までに時間が必要
- 退職すると積み立てできない
個人向け国債
個人向け国債は、元本が保証されている安全な資産運用法です。個人向け国債には、「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類があります。
国債のメリットは元本保証があること、デメリットは利回りが低いことです。ローリスク・ローリターンで初心者が始めやすい資産運用といえます。
投資で活用したい2つの制度
ここでは投資をする際に活用できる以下2つの制度を解説します。
- iDeCo
- NISA
iDeCo
iDeCoとは確定拠出年金のことです。確定拠出年金の英語表記「individual-type Defined Contribution pension plan」の一部をとって、「iDeCo」という愛称がつけられています。
iDeCoは国民年金や厚生年金とは別に給付を受けられる、私的年金制度です。簡単にいえば、自分で積立をして年金を作る制度になります。
iDeCoのメリットは、以下の通りです。
- 掛金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 受給時は退職所得控除
一方で、原則60歳までは引き出せない点はデメリットといえます。
NISA
NISAは、投資運用益にかかる税制が優遇される制度です。
一般的な投資では、利益に約20%の税金が発生します。一方、NISA口座内で運用して得た利益は、非課税になるのが特徴です。
また、iDeCoとは違い、NISA口座で運用している資金はいつでも現金化できます。
NISAは「つみたて投資枠」「成長投資枠」の2つがあります。
非課税保有限度額は合計1800万円までで、そのうち成長投資枠は1200万円までです。
NISAは2024年に制度改正されました。以前までの制度と比較すると、年間投資枠や非課税保有期間、非課税限度枠などが拡大されています。
NISAとiDeCoのどちらを始めたらいいかわからないという方は、こちらの記事『あなたはどっち派?NISA vs iDeCo!後悔しないためのポイント』も参考にしてみてください。
30代で投資を行う際の注意点
30代で投資を行う際の注意点は、以下の通りです。
- 余剰資金で取り組む
- リスクを把握する
- 貯金から投資に回せる金額を増やす
余剰資金で取り組む
投資は余剰資金で取り組みましょう。余剰資金とは、日常生活に必要なお金や支出を払ったあとに残ったお金のことです。
払う予定が決まっているお金も投資に回さないようにしましょう。
リスクを把握する
投資には、元本割れのリスクがあります。投資をする際には、保有資産にどれだけリスクをかけられるか把握しておきましょう。
多少リスクをとってもリターンに期待したいなら株式投資、リターンは少なくても元本は減らしたくないなら国債など、許容できるリスクに応じて投資方法が変わってきます。
ローリスク・ハイリターンでお金を増やせる投資はないことに注意してください。
貯金から投資に回せる金額を増やす
お金を増やすときの注意点として、いきなり投資にお金を回すのではなく、まずは貯金を増やすことから始めましょう。生活費とは別に余剰資金をつくり、その中から投資に回していくやり方です。
整理すると、貯金から投資に回す流れは、以下の通りです。
- 家計を見直す
- 貯金を増やす
- 余剰資金を把握する
- 余剰資金を投資に回す
30代からの投資に関してよくある質問
最後に、30代からの投資に関してよくある質問を紹介します。
30代は会社員の定年まで30年近く時間があり、コツコツ投資ができます。
投資と貯金のバランスに悩んだらFPに相談する
30代で投資と貯金のバランスに悩んでいる場合は、お金の専門家に相談するのもよいでしょう。現状の資産分析のほか、個人の人生設計に合わせた現実的なライフプランも提案してくれます。
お金の相談先は銀行や証券会社、ファイナンシャルプランナー(FP)など、種類があります。自分に合った相談先を見つけられれば、資産運用のパートナーとして適切なアドバイスを受けられるでしょう。
お金の相談先について知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
◆ 資産運用の相談はどこがおすすめ?銀行・証券会社やFPなど相談先一覧
この記事では、以下の内容を紹介しています。
- 資産運用の相談先には何があるか
- 資産運用の相談先を選ぶポイント
- 資産運用の相談をする際の注意点
将来を見据えて資産運用をするためには、知識豊富な専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。
まとめ
30代では、約7割が金融資産を保有しています。また、保有している金融資産のうち、約5割が預貯金です。
投資は、毎月の支出よりも収入の方が安定して多く、余剰資金を作れている場合に取り組みましょう。30代は現役世代で、老後まで時間もあるため、投資を考えるにはベストな年代です。
貯金と投資の割合をどう決めてよいのか判断できない場合は、FPに相談するのもおすすめです。相談自体は無料なので、ぜひ活用してください。
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