500CCボトルが2万7000円! ワインではなく高級玉露 発祥から600年を迎えた八女茶 ボトリングで海外進出

国内有数の茶の産地、福岡県八女市で、今シーズン最初となる新茶の入札会が開かれました。2023年に、発祥600年を迎えた八女茶。市場の拡大を目指した新たな取り組みも進んでいます。

「おいしいお茶を味わって」新茶の初入札

福岡県八女市のJA全農ふくれん茶取引センターで17日午前9時から開かれた新茶の初入札には、早生品種の煎茶「さえみどり」など158点、4473キロが競りに出されました。入札には、県内の指定茶商27社が参加し、茶葉を手にとって香りを確かめたり、お湯に入れて味や色を確認したりしていました。

福岡県茶商工業協同組合古賀祐介理事長「霜の害もなかったと聞いていますので、おいしいお茶を味わっていただければ」

1キロあたりの平均価格は7345円(2023年比で763円安)で、最高入札価格は昨年と同額の1キロあたり10万円の値がつきました。

ブランド「八女伝統本玉露」には厳しい生産基準が

RKB本田奈也花「大濠公園にあるカフェにやって来ました。これから八女茶の魅力を発信するイベントが開催されます」

大濠公園にあるカフェ「大濠テラス」では月に2回、八女伝統本玉露などを4種類の飲み方で楽しむ試飲会が開かれています。ブランドとして打ち出している八女伝統本玉露には独自の厳しい生産基準があり、生産面積は八女茶全体の1543ヘクタールのうち、13・8ヘクタールとわずか0・9%です。

参加者「お茶の甘みと香りが引き立っておいしいです」「いろいろ体験できて感動しています」

お茶をいれるのが「難しい」と感じる海外の人たち

日本では急須でお茶をいれる人は減っていますが、海外では健康志向を背景に緑茶の人気が高まっています。

チェコからの観光客「緑茶はおいしいから好きだよ」

緑茶の輸出額は年々増加。2023年は前年比3割増の292億円で、4年連続過去最高を更新しました。

八女伝統本玉露の生産者や販売者で作る協議会は、2016年からニューヨークや香港などで料理と合わせた試飲会を実施。シェフやソムリエなどから高い評価を受けてきました。ただそこで気が付いたのは海外の人たちが茶葉からお茶をいれることを「難しい」と感じていることでした。

マイナス1度で約10時間かけて抽出

その課題を克服するために開発されたのが、八女伝統本玉露をビン詰めしたボトリングティーです。本玉露の4つの品種をブレンドし、旨みと甘みを最大限に引き出すためマイナス1度前後で約10時間かけて抽出。国内外の高級レストランでの流通を目指していて、3月には東京のレストランでデザートのフルコースと合わせて楽しむイベントも開催されました。価格は1本500ミリリットルで2万7000円。ネット販売のほか、福岡三越にある古賀茶業でも購入が可能です。

古賀茶業古賀公弥子マネージャー「誕生日やクリスマスパーティー、米寿のお祝い時に、店頭では10本ほど、オンラインショップでは50本ほど。海外の方も、アメリカを中心に購入いただいております。玉露ははいれ方が難しいこともありまして、ボトリングティーにすることでお手軽に玉露を楽しんでいただける」

YAMEという名前が世界で通用するよう

全国茶品評会で、23年連続最高賞「産地賞」を獲得している八女伝統本玉露。協議会は最高級のボトリングティーで海外での知名度を上げたいと話しています。

八女伝統本玉露推進協議会小柳俊郎さん「スペインの高級なミシュランの星をとっているレストランとか、サウジアラビアやドバイの富裕層に卸しているメーカーからオファーもいただいています。シャンパーニュ地方はシャンパン、ボルドーだと赤ワインが頭に浮かぶ。産地の名前がブランドを代表するものになっているように、YAMEという名前が出たら世界中の人が『高級な日本茶だ』となるのが目標です」

2023年4月から販売を開始した八女伝統本玉露のボトリングティー「YAME」。ボトリングにすることで、ワインと同じ流通経路が使用できるというメリットもあります。2023年は200本の限定販売でしたが、協議会は、2028年には5000本の生産・流通を目指すとしています。発祥から600年を迎えた八女茶。福岡から世界へ、新たな挑戦は続いています。

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