星野リゾートが「奥飛騨温泉郷」に進出 匠の技を感じる高級旅館が9月に誕生 東海3県で初

この秋、岐阜県の奥飛騨温泉郷に温泉旅館が誕生します。手がけたのはリゾート開発で注目を集める星野リゾート。都心部からのアクセスが必ずしもいいとはいえない、この地域に狙いを定めたワケは?

17日に開かれた星野リゾートのオンライン会見。 「本当に魅力的な温泉施設になると思っている。日本全国の素晴らしい温泉地に『界』の拠点を持っていくという意味で、奥飛騨は外せない大事な地域になると思っています」(星野リゾート 星野佳路代表) 星野リゾートが全国各地で展開する温泉旅館ブランド「界」。 これまで手を付けてこなかった東海3県初の施設を、岐阜県に9月5日に開業すると発表しました。 選んだ先は、名古屋から車で約3時間。 北アルプスのふもとにある国内有数の温泉地、岐阜県高山市の「奥飛騨温泉郷」です。

懐石料理に飛騨牛、室内は匠の木工技術

17日に明らかになった詳細は―― 「奥飛騨の私たちが得られる源泉の湯量と温度は、なかなか他の温泉地では得られない。温泉資源はすごく豊富なんです」(星野代表) 毎分440リットルにおよぶ湯量の豊かさを生かし、全49室のうち半数以上の28部屋に露天風呂があり、時間とともに表情が変わる山の景色が楽しめるといいます。 室内には、飛騨の木工技術「曲木」をモチーフにしたベッドボードや飛騨染めのクッション。 懐石料理が楽しめる夕食では、「飛騨牛」を存分に味わえます。 「山あいの温泉の心地よさに気付き、飛騨の匠の技を感じられるよう趣向を凝らしています」(界 奥飛騨 須永隆介総支配人) 2人で泊まった場合の料金は、1人あたり1泊3万1000円からということです。 建物の外観は徐々にでき始めていて、ベランダには露天風呂のようなものも見えていました。

“最も歴史がある”と言われる「平湯」

星野リゾートが手掛ける温泉施設ができるのは、「奥飛騨温泉郷」のなかで、“最も大きく歴史がある”と言われているエリア「平湯」です。 17日も、観光客が山あいの温泉街の風情を楽しんでいました。 「景色がきれいとか、雪解けがきれいとか、やっぱり空気がきれい」(日本人観光客) 「美しい!素晴らしいね。雪もあるし、自然がとても美しいよ」(イスラエル人観光客) 「温泉のために来たんだ。こんなのはドイツにないよ。文化も素晴らしい、またきっと来るよ」(ドイツ人観光客)

奥飛騨温泉郷はGW予約も好調

昭和43年創業の「元湯孫九郎」。 宿を経営する沖本啓介さんは「奥飛騨温泉郷観光協会」の理事長を務めています。 「大変、新穂高ロープウェイも人気があり、たくさんの外国人が来ている。特に春以降、円安の影響もあると思うが、たくさんの外国人が来ている印象を受けています」(沖本啓介理事長) コロナが5類に移行してからは特にインバウンド客が多く、ゴールデンウイークの予約も好調だといいます。 「この辺りは山岳観光をメインに展開しているので、高山からの観光客とはまた違う客がたくさんこの辺りには来ている」(沖本啓介理事長)

交通アクセス難を魅力に

世界遺産の「白川郷」や先日「春の高山祭」が開催された高山の古い町並みは、国内外問わず根強い人気を誇りますが「奥飛騨温泉郷」は、高山市の中心部からは少し距離があります。 こうした「奥飛騨温泉郷」の立地について、星野リゾートの代表は17日の会見で―― 「私たちは場所を選ぶときに、その場所の魅力、地域らしさはすごく大事にしているが、あまり大都市圏からの、その距離やアクセスについては、そんなに重視はしてないです」(星野リゾート 星野佳路代表) アクセスが良くないことも逆手にとり、魅力につなげていきたいと話します。 「アクセスがよくないところだからこそ、連泊が増えるという要素もあるし、その地域の魅力にこだわることによって、行ったことがないというマーケットは大きいんですよね」(星野佳路代表)

奥飛騨の全国知名度アップ狙う

歴史ある温泉地に、満を持して進出する「星野リゾート」は、地元にどのような影響をもたらすのでしょうか。 「元々、奥飛騨温泉郷は中部と関西の客になじみの深いところで、そこにいま星野リゾートが、全国区の知名度の高い企業が進出してくることで、奥飛騨の全国への知名度アップにもなるかと思いポジティブに捉えています。観光に関するノウハウをたくさん持っている企業なので、これからは一緒にいろんなことにコラボしながら、この地域を一緒になって盛り上げてもらえたらうれしい」(奥飛騨温泉郷観光協会 沖本啓介理事長) 地元も期待を寄せる「界 奥飛騨」のオープンは、9月5日です。

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