春は気圧が乱高下!めまぐるしい変化のワケと乗り切るコツを気象予報士が解説

天気に詳しくない人でも、気温の変化は日々感じることができますし、湿度の変化もなんとなく感じているのでは。
しかし気圧の変化となると、今日の気圧が低いのか高いのか…よくわかりませんよね。

ところが、春はその気圧が文字どおり乱高下する季節で、そのせいで体調を崩してしまうことも…。
今回は、気象予報士・防災士として活躍する植松愛実さんに、春に気をつけたい気圧の変化のワケと対処法を教えてもらいます。

気圧の乱高下を引き起こす「爆弾低気圧」

急速に発達した「爆弾低気圧」の例(2012年4月3日の天気図)。気象庁サイトをもとに作成。

「爆弾低気圧」とは、中心の気圧が急激に下がる低気圧のことです。

低気圧は発達すればするほど中心の気圧が下がるので、中心気圧が急激に下がるということは、急激に発達するということ。
科学的に「爆弾低気圧」と呼べる基準は少し複雑ですが、日本の本州くらいの緯度だと24時間で約20hPa以上の気圧低下を伴う低気圧を「爆弾低気圧」と呼びます。

この「爆弾低気圧」が近くをとおると気圧が急変することになるのですが、ちょうど春先は「爆弾低気圧」が日本付近を通過しやすい季節なのです。

日本付近が「爆弾低気圧」のとおり道に

急速に発達した「爆弾低気圧」の例(2012年4月3日の衛星画像)。日本海に「×」印をつけた場所を中心にして低気圧の雲が渦を巻いている。気象庁サイトをもとに作成。

じつは「爆弾低気圧」はそこまでめずらしい現象ではなく、毎年おおむね初冬から春先にかけて20個程度発生しています。
ただ、冬の間は日本のはるか東の海、だいたい日付変更線があるあたりを通過することが多く、あまり日本に接近しません。

それが春になると日本付近を通過するようになり、近づく際には急激に気圧が低下、そして離れるにつれて急激に上昇して、気圧の乱高下を引き起こすのです。

おまけに春はもともと、偏西風に乗って通常の低気圧も数日おきにやってくるため、気圧変化の大きい季節なのです。

気圧変化で「気象病」になる人も

「気象病」は最近知られるようになった病気で、気圧や気温や湿度といった気象の要素が原因でめまいや体の痛みなどさまざまな不調が引き起こされる病気の総称です。

とくに太平洋側の地域では冬の間、圧倒的に晴れる日が多いため日々の気圧変化が小さいですが、春を迎えるとともに変化が大きくなっていき、急に不調を感じるようになる人も。

じつは気圧のようにパッと見て原因がわかりづらいことが多い病気はどうしても見過ごされがちで、不調を感じていても「気のせいかも」と思って「気象病」を自覚していない人がかなりいます。
放置することで悪化してしまうこともあるため、つらいと感じる場合は遠慮せず医療機関を頼りましょう。

春は今日・明日の天気の「先」も確認して

Andrey Bukreev/gettyimages

現代の天気予報では、気圧変化を引き起こす低気圧が進むスピードを予測できるため、いつ気圧が変化しそうか数日前から知ることができます。

天気予報を見るときは今日あるいは明日の天気が一番気になるところですが、数日前から把握しておくことで、体がしんどくなる日のスケジュールに少し余裕を持たせるなど、あらかじめ対策することが可能に。

できれば週間予報は自分の地域だけでなく全国のバージョンを見ておくと、日本付近を低気圧が通過するときは西から順に雨マークが移動していくので、天気に詳しくない人でも把握しやすくなります。

気圧変化の激しい春、かしこく情報を手に入れて、少しでも楽に乗り切りましょう。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部

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