61歳・麻木久仁子、放送大で2年目の学び「老後の生き方に差が出て来ると感じて」

インタビューに応じた麻木久仁子

1年目は全8科目で最高評価「マルA」

昨年、還暦を機に放送大に入学したタレントで国際薬膳師の麻木久仁子(61)が、今春から再び授業を受けている。昨年度、第1・第2学期を通して8科目を受講し、全てを最高評価の「マルA」で修了。学問に励んだ1年間を振り返り、2年目に入った理由を語った。

――還暦で大学生になり、年間を通して8科目を「マルA」で修了。どのようなペースで受講を。

「入学する前は『大学に通うなんて無理』と思っていたのですが、放送大学には自分の好きな講義を1科目から受講できる『選科履修生』というシステムがあることを知りました。実際に試してみたら自分の生活の中で無理なく自然に学ぶことができました。なので、1科目から受講できる放送大学の特徴がありがたいなと実感しました。2年目も同じペースで続けて行こうと思います」

――麻木さんにとって、「学び」とは。

「私の場合は自分の仕事があって、その仕事をより深めていく上で、『もっと、たくさんの知識を得たい。仕事と両立しながら学びたい』という思いがありました。なので、興味のある科目だけを受講したのですが、逆に言うと、好きな科目だけを取って、そうでない科目を受けなくて済むということです(笑)。そのやり方が放送大学なら可能でした」

――大人になって学ぶ意義とは。

「先日、あるタレントさんが有名私立大学法学部の通信教育課程を卒業したというニュースが流れました。実は私と同じ歳なのですが、その方が成し遂げられたことはとてつもなくすごいことです。詳しいことは分かりませんが、その方は大学にしっかりと通い学位を取得することを選択されました。自分の学ぶ目的や『学びたい』という思いで、学ぶ方法を選べるのは大人の特権あり、『大人の学び』だと思います。大人はそれまでの人生経験があった上でのチョイスになるので、全科履修生になることも、選科履修生になることも受け入れられます。それが若い時とは違うのかなと思います」

――これまでの1年間で「学び」に対する意識の変化は。

「今は『人生100年時代』で、いかに寿命を延ばして健康に生きていくかということが言われています。放送大学でいろいろと学んでみて、情報や知識があるのかないのかで、老後の生き方に差が出て来ると感じました。これから体はどんどん衰えていくので、情報にアクセスする方法を知っていることが自分の身を守ることになるのかなと感じています。特に情報があふれている世の中だからこそ、リテラシーを見につけることが重要だし、リスクを回避することにもつながると思います。自ら学んで得た知識とは、人生最期の瞬間まで武器になると感じています」

――では、2年目を続けようと思った理由は。

「特別な決断とか決心はなく、単純に面白くて。魅力を感じる講義がなかったらやめていたと思いますが、まだまだ受けてみたい講義がたくさんあります。しかも、興味が湧いたらすぐに選択して受講ができるんです。なので、2年目を終えてまた興味が湧けば、3年目も続けると思います。軽い気持ちで入って気づいたら何年も放送大学に通っているというのが、“放送大学あるある”かもしれません(笑)」

――2年目の目標は。

「科目群履修認証制度(放送大学エキスパート)を利用した履修です。ある分野に目的、関心を持ち、そのための学習を体系的に行ったことを証明する制度です。これを目標にしちゃうと、単位取得を優先しちゃうため、マルAを続けられなくなるかもしれませんが、挑戦してみたいです」

麻木は2010年に「脳こうそく」を発症し、12年には初期の「乳がん」が見つかった。食生活を見直し、国際薬膳師、国際中医師、温活指導士の資格を取得。「食を通して、体を温め、免疫力を高める」という考えなどを多方面で提案し、60歳になったことをきっかけに「学び直し」を決意。昨年4月に放送大に入学した。放送大は、文部科学省・総務省所管の通信制大学。4月と10月の年2回、出願書類による選考で入学可能。BS放送、ラジオ、ネットなどを通じて好きな時間に学習できることが特徴で、大学卒業(学位取得)を目指す「全科履修生」(最大10年間まで在学可能)、好きな科目だけ学べる「選科履修生」「科目履修生」がある。ENCOUNT編集部

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