日本戦でFW起用された中国の“2メートルGK”、フェライニの手引きでベルギー1部のクラブに練習参加も。父は元サッカー選手で母は元バレーボール選手【U-23アジア杯】

パリ五輪予選を兼ねたUー23アジアカップがカタールで開幕。4月16日にはUー23日本代表がUー23中国代表と対戦して1ー0で勝利した。日本は8分にMF松木玖生のゴールで先制するも、17分にDF西尾隆矢が相手への肘打ちで一発退場。それでも日本は最後まで中国にゴールを許さなかった。

この試合で話題になった中国人選手がいる。88分にフィールドプレーヤーとして投入された身長2メートルの控えGKユー・ジンヨンだ。その長身を活かしてゴールに迫るため最前線に陣取ると、89分のファーストプレーで空中戦に参加して味方のシュートチャンスを生み出した。

93分と94分には、いずれも最終ラインからのロングフィードを頭で前線に流すも味方につながらず、96分にはゴールキックをDF木村誠二に競り勝って前線に送ったが、そのボールはDF高井幸大に跳ね返された。結局、中国は最終盤のパワープレーでも日本の守備をこじ開けられなかった。

GKユー・ジンヨンをFWで起用する策は、事前に準備していたものだったという。中国メディア『捜狐体育』は、「ユー・ジンヨンのFW起用は突然のアイデアではなかった。2メートルの高さを活かす練習を以前から行なっていた」と伝えた。
それでも成果は出なかった。「ユー・ジンヨンは懸命にプレーしたが、大きな効果はみられかった。スタッフが期待した役割は果たせなかった」と、“奇策”は失敗したとも報じている。

ユー・ジンヨンは2004年7月6日生まれの19歳で、父親は元サッカー選手で、母親は元バレーボール選手。幼少期はストライカーだったが、身長が急激に伸びたためGKに転向。所属する山東泰山には、ユース時代から在籍している。

23年夏には、山東泰山で5年間プレーしていた元ベルギー代表MFマルアン・フェライニの手引きで、ベルギー1部シャルルロワの練習に参加。“リトル・(ティボー)クルトワ”と高評価を受けて契約交渉まで進んだが、最終的に契約までは至らなかった。

Uー23アジアカップでは控えGKながら、FW起用で話題となったユー・ジンヨン。中国代表は19日に韓国代表と、22日にはUAE代表と対戦する。日本戦のように、ビハインドの状況になれば、また2メートルの控えGKが登場するかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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