関電工/外国人特定技能労働者14人を採用、電設工事業界初

関電工が電気設備工事業界で初めて、特定技能制度を活用し外国人技能労働者を受け入れた。建設分野の特定技能1号に合格したフィリピン国籍の20代男性14人を、2月20日付で屋内線技能職として正社員採用。茨城県牛久市の同社人材育成センターで導入研修を実施している。国家間の人材獲得競争が激しくなる中、仲摩俊男社長は「日本が働きやすい国として、外国人材に選ばれるようにしたい」と意気込む。
特定技能制度は労働力不足を補うため、一定の技能レベルを持つ外国人労働者を受け入れる在留資格制度。在留期間は1号で最長5年間。2023年8月建設分野に電気工事が追加された。14人はフィリピンに日本企業が設立した職業訓練校を23年6月に卒業し、同7月に日本語検定と技能試験に合格した。関電工は試験対策のオンライン授業を実施するなど受け入れ準備を整えてきた。
17日の記者会見で仲摩社長は「これから日本の人口は基本的に減っていく。協力業者も担い手不足に困っており、まず当社が先駆けて取り組み検証する必要がある」と業界で初めて人材を受け入れた経緯を説明。「どんな課題があるか『自分ごと』として把握し、所轄官庁などに提言するのがわれわれの役目だ」と強調した。
将来的には関電工が進出するシンガポールやフィリピンでの勤務など、本人の進路希望に配慮した選択肢の多様化も見据える。
同日に研修風景を報道陣に公開した。14人は4月に入社した日本の新入社員たちに混じり、日本語で機材の使い方などを学ぶ。プアン・クリスチャン・オリタさんは「日本の技術は進んでいて、先生の話も分かりやすい」と手応え。地元で自動車整備士をしていたというコルデス・ラヤン・ロイ・ベンゾンさんは「まずは(期間の上限がない)特定技能2号に合格したい」と目標を掲げた。
導入研修後、14人は10月に東京近郊の支店で5カ月間の現場実習に移り、25年2月に2週間のフォローアップ研修を予定している。

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