奈良市の興福寺で「放生会」 殺生戒め猿沢池に在来種の魚を放流

モツゴの入ったおけから猿沢池へ放流する森谷貫首(中央)=17日、奈良市登大路町の猿沢池

 奈良市登大路町の興福寺(森谷英俊貫首)で17日、殺生を戒める仏教行事「放生会(ほうじょうえ)」が営まれた。

 猿沢池に魚を放す儀式では、2020年から近畿大学農学部の北川忠生准教授の研究室と連携。生態系に配慮し、同研究室の学生らが事前に猿沢池で採取した在来種のモツゴ約60匹やスジエビを放流した。

 森谷貫首ら同寺の僧侶が境内の一言観音堂で法要を営んだ後、池まで移動。般若心経を唱えた後、おけに入ったモツゴなどを放った。市立椿井小学校の児童らも続けて放流した。

 同小4年の三谷一颯君(9)は「楽しかった。魚を大切にしようと思った」と笑顔で話した。

 同研究室は猿沢池の生物調査や健全な生育環境の整備に取り組んでおり、同寺南円堂の古瓦を使った人工漁礁を設置するなど、在来種を増やす活動を進めている。

 北川准教授は「放生会はさまざまな場所で行われているが、ここからよりよい放生会を広げてもらえたら」と話した。

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