ロングセラー液体のり「アラビックヤマト」のヒントは台所道具? ヤマトに聞いた

国内シェア約7割というダントツ(提供写真)

【会社のギモン】

どこのオフィスにも必ずある「アラビックヤマト」の液状のり。事務用液状のりの国内シェアは約7割とダントツだ。しかし、1975年の発売当初は、すぐには売れなかったのだという。

「当時ののりの値段の倍近い価格だったため、すぐには受け入れられませんでした。そこで、ミニタイプのサンプリングを行ったところ、使い勝手のよさが認められ瞬く間に反響をいただくようになりました」(ヤマトの担当者)

手を汚さずにきれいに塗れるのも売れている理由だが、当時はでんぷん粉のりを指でのばすのが一般的。その不便を解決したヒントは「ザル」だったというのは本当?

「開発に3年もかかった『特殊スポンジキャップ』は2枚の異素材を組み合わせ、台所にあったプラスチック製のザルにヒントを得たザル形状のパーツを底の部分に配置することで、滑らかで均一な塗り味を実現しました」(前出の担当者)

■ザルとスポンジが合体

簡単に説明すると、当時のスポンジは天然の海綿を使うのが主流。しかし、海綿だと液状のりがしみ出してくるのが玉にきず。そこでヤマトは海綿の代わりを探した。薄いスポンジを使うことは決まったが、それだけでは耐久性に難がある。そこで当時の開発者が台所にあるプラスチックのザルを裏返して押してみたら、意外と弾力性があることがわかった。こうして小さなザルとスポンジを貼り合わせた特殊スポンジキャップが完成することになったのだ。

社名は、商品が大当たりするようにとの願いから、「矢が的に当たる→矢的→ヤマト」に。日本の古称である「大和」にもかけているのだとか。よーく見てみれば、キャップの上部には「当たり矢マーク」がデザインされている。「補充用パック」や「ミニタイプ」、詰め替え補充でムダをなくす「さかだち専用補充のり」などもあって、今どきのSDGsも意識している。

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