米産牛肉が高騰、「ミートショック」中国地方にも 鳥や豚の肉増やす店も 飼育頭数減や円安など要因

米国産牛肉を減らしたスーパーの精肉売り場(広島市安佐北区)

 米国産牛肉の輸入価格が高騰し、中国地方に「ミートショック」が広がっている。干ばつによる飼育頭数の減少や円安が要因で、米国産牛バラ肉の仕入れ値が1年前より約3割上がった小売店もある。スーパーは豚肉や鶏肉の割合を増やし、焼き肉店は価格の維持に苦心する。値上げに踏み切る牛丼チェーンも相次ぎ、家計に影響が及びそうだ。

 スーパーの万惣(広島市佐伯区)は、米国産牛バラ肉の4月の仕入れ値が、1年前に比べて約3割高くなった。5、6月はさらに上がり、昨年4月の1・6倍になると見込む。米国産より割安感のある豪州産に切り替えるなどして店頭の価格を抑えている。売り場から牛肉を減らし、豚肉や鶏肉の割合を増やした。

 売り場を訪れた安佐北区のパート宮本麻紀子さん(41)は「子どもたちは食べ盛り。国産も含めて牛肉は高いので豚と鶏肉を使っている」と打ち明ける。万惣の担当者は「工夫して安く提供したい」と説明する。

 農畜産業振興機構によると、米国産牛バラ肉の2月の卸値は1キロ当たり1023円と前年同月に比べ29%上がった。2021、22年に米国で起きた干ばつで飼料価格が上がり、生産者が飼育頭数を減らした影響が続いている。24年も飼育頭数が回復するめどは立っていないという。円安も輸入価格を押し上げている。

 焼き肉店の白李を運営する泰成フーズ(中区)は、人気のタンやハラミの大半が米国などの海外産だ。米国産のタンの仕入れ値は昨年1キロ3千円台だったが今は4千円台。需要が高まる大型連休ごろには、さらに上がる可能性があるという。

 材料を無駄なく使って原価率を下げようと、新しいメニューの開発も進めている。タンの切れ端を使う「オニオン牛タンスープ」を、6月ごろに発売する予定だ。大山泰司社長は「肉の注文が減らないよう、価格を何とか維持したい」と知恵を絞る。

 今月に入り、牛丼チェーン大手は相次いで値上げした。すき家は商品の約3割を10~50円上げ、牛丼の並盛は30円増の430円とした。松屋も今月、「牛焼肉定食」など9品目の価格を一律100円上げた。いずれも米国産牛肉の値上がりや人件費の上昇が響いているという。

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