子どもの転落事故どう防ぐ 高層マンションの対策 ベランダに物を置かない・手の届かない補助錠… 専門家「1人きりにさせないで」

 子どもがマンションから転落する事故が後を絶たない。16日には広島市中区の53階建てマンションの中層階のベランダから女児(3)が転落死したとみられる。専門家は保護者の見守りだけでは限界があるとした上で、ベランダで1人きりにさせないなどの対策が必要としている。

 事故があったマンションの開発を担った業者によると、子どもの転落や物の落下を防ぐため、ベランダにはエアコンの室外機などを除き、物を置かない決まりがある。広島中央署によると、女児方のベランダでも普段は物を置いていなかったという。中層階に住む主婦(31)は「1歳の息子が自分で窓を開けてベランダに出たことがあった。気を付けたい」と話した。

 厚生労働省の調査では2016~20年に9歳以下が建物から転落死した事故は21件あり、3、4歳が5件で最も多かった。ベランダからの転落が8件、窓が4件だった。昨年3月には名古屋市のマンションで2歳の双子の男児が7階の窓から転落し死亡した。段ボール箱を足場にしたとみられている。同5月には防府市でも12階から4歳の男児が落ちて亡くなった。

 消費者庁は子どもの転落防止策として、窓やベランダの手すり近くに足場になる物を置かないことや、手の届かない位置に補助錠を付けることなどを挙げる。

 日本小児救急医学会代議員で佐久医療センター(長野県)小児科医長の坂本昌彦医師(46)は「4歳以下の子どもは危険を予知する能力が低い」と指摘。「複数の対策を講じることで効果は上がる。ベランダなど危険な場所に行かせないことが最も有効だ」と話す。

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