「テストの点数は個人情報」 教師が同級生に送信、元生徒が慰謝料請求へ

大津簡裁

 教員がアプリを使ってテストの点数を同級生に共有したのは、プライバシー侵害にあたる―。滋賀県立高校の元男子生徒が、点数を他の生徒に知らされたことで精神的苦痛を受けたとして、県を相手に損害賠償を求める訴えを近く大津簡裁に起こす。生徒側は「テストの点数は個人情報で、学校には最低限の配慮を求めたい」としている。

 訴状などによると、元生徒は県立高校に通っていた今年1月、英語の補習テストを受けた。担当の教諭が採点後、教育支援アプリのグループ機能を使って、元生徒を含む5人分の点数を一覧にしたメッセージをそれぞれに共有。名前入りで、個人が特定できる状態だったとしている。

 元生徒は学習に困難を抱えており、これまでも成績を理由に周囲からからかわれることがあった。点数を知られたことで、さらに不安や苦しみを抱えるようになったとして、慰謝料50万円を求めている。

 元生徒の母親は京都新聞社の取材に、「少人数であっても成績を知られたことで本人はショックを受けた。いじめにつながる恐れもあり、学校には情報の取り扱いに緊張感を持ってほしい」と話す。代理人の石川賢治弁護士は「テストの点数は他人に知られたくないプライバシー情報で、成績優秀者のものであっても配慮されるべきだ」と指摘する。

 学校側は母親らの指摘を受け、配慮が足りなかったことを認めた上で、元生徒に謝罪した。「(教諭は)生徒同士で互いに刺激を受けて頑張ってほしいという意図で共有したが、個人情報の取り扱いや、生徒の気持ちを踏まえると不適切だった」としている。

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