飯坂温泉「値上げ検討を」、福島市に提言書 7月までに具体案

 福島県福島市の飯坂温泉で温泉供給施設・設備などの老朽化が進んでいる問題で、市が設けた「飯坂町財産区保有施設等在り方検討会」は17日、温泉使用料や公衆浴場料金の見直し検討などを求める提言書を市に提出した。この問題を巡っては、管理する飯坂町財産区の改修費(繰越金)が2026年度にも枯渇する恐れがあり、値上げや市の財政支援を含めた財源確保策が焦点となる。市は7月までに3~4回開く予定の飯坂町財産区管理会で議論し、見直し内容の具体案を出す方針だ。

 温泉供給、公衆浴場両事業について「(資金不足で改修不能となり)事業が停止すれば地域経済と市民生活に大きな影響を及ぼす」とした上で、温泉使用料の見直し検討を求めた。公衆浴場については、料金(現在は1カ所を除き大人200円)の見直し検討に加え、時短営業や統廃合も検討するよう促した。

 検討会では、約6800万円(3月末時点)に上る温泉使用料の滞納が財政圧迫の一因と指摘された。このため提言書では、悪質な滞納者については温泉供給の停止なども検討するよう働きかけた。日常的に公衆浴場を使う市民に負担をかけず、観光客との差別化も図るため、パスポート制や回数券の導入を検討することも盛り込んだ。

 検討会は問題を受け昨年5月に発足。今年3月まで4回の会合を開き、10人の委員で提言案をまとめた。検討会の小水(こみず)秀也会長が17日、杉内剛市商工観光部長に提言書を手渡した。

 提言書の提出後、財産区管理会は非公開で会合を開いた。市によると、公共的な役割に配慮して市も一定の財政支援を検討する考えを示したという。

 市は5月以降、公衆浴場利用者や温泉旅館の事業者に見直し案などを説明し、意見を聞く考えだ。温泉使用料や公衆浴場料金の見直しには条例改正が必要で、財産区管理会で同意が得られた場合、市議会に条例改正案を提出する予定。自身も温泉旅館を営む小水会長は「議論はこれからだが、利用者に満足していただけるようにしたい」と語った。

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