国産材自給率は49.5%に

建築用材の国産材自給率が49.5%と5割近くにまで高まった。建築物木材利用促進協定は地方公共団体との締結が100件を超えており、国産材活用にますます拍車がかかりそうだ。

農林水産省の木材利用促進本部が公表した「令和5年度 建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況の取りまとめ」によると、2022年における建築用材等(製材用材・合板用材)の総需要量は、3608万3000㎥で前年に比べ、39万㎥減少した。

一方で、建築用材等の国内生産量は1784万9000㎥であり、前年から32万7000㎥増加。これにより、建築用材の自給率は同1.5ポイント増の49.5%で全体の半数近くに上る。国産材の活用が着実に進んでいることが分かる。

構造・用途別でみると、23年に着工した建築物の木造化率(床面積ベース)は、3階建て以下の低層住宅が82.6%、低層非住宅が14.7%、中高層建築物は住宅、非住宅ともに0.1%となっている。

近年、注力分野となっている中大規模建築物の木造化だが、市場全体での割合はまだまだ低い水準だ。

ただ、23年着工の中高層木造建築物の床面積は約4万6000㎡と、前年の約2万5000㎡から大幅に増加。全体の規模は小さいものの、今後の活用増が期待できる。

また、国が整備する公共建築物のうち積極的に木造化を促進するとされた公共建築物の木造化率は22年度実績で100%となった。

行政と事業者が一丸となって木材活用を進める

中高層木建築物の着工床面積の推移

21年の「改正木促法」で創設された「建築物木材利用促進協定」も広がりをみせる。

同制度は、事業者と国もしくは地方公共団体が建築物における木材利用の促進に関する構想などを盛り込んだ協定を結び、木材利用に取り組むもの。直近1年間では特に地方公共団体との協定が顕著に広がっている。

23年12月末時点で、国との協定締結は15件。協定に基づいて、計435件の建築物の木造化・木質化が行われ、計約1万5277㎥の木材が使用された。国との協定では、全国建設労働組合総連合、農林水産省、国土交通省の「大工技能者の育成と地域工務店等による木材利用に関する建築物木材利用促進協定」を始めとして複数の省との協定も多い。

地方公共団体との協定は、23年12月末時点で108件が締結。22年12月末時点の46件から締結件数が大きく伸びた。また、協定により計2730件の建築物の木造化・木質化が行われ、計約5万607㎥の木材が使用された。

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