天国に旅立った恩人に最高のプレーを「結果でしか恩返しできない」 西郷真央は特別な思いも胸に今季初メジャーへ

米ツアーメンバーとして初の海外メジャー出場の西郷真央(撮影:南しずか)

<シェブロン選手権 事前情報◇17日◇ザ・クラブ at カールトン・ウッズ(テキサス州)◇6889ヤード・パー72>

今季から米国ツアーに参戦する西郷真央。「今年はツアーメンバーとしてもう一度戻って来られたことはすごくうれしい。しっかり気を引き締めて最初のメジャーを頑張りたいと思います」と気合も入る。

3週前の「フォード選手権」を終え一度帰国。日本では「課題」と感じているショートゲームの調整に多くの時間を割いた。「打ち方をいろいろと試して、どれが使えるかとか。いざという時に使えるようにしないといけないので」。先週の土曜日に再渡米し、時差調整もしながら日曜日からみっちりとラウンドを積んできた。

昨年もこの大会を戦ったが、その時はまだ復調に向け試行錯誤を続けていた時期でもあった。第2ラウンドに「68」を記録し決勝ラウンドに進んだ1年前については、「去年ここで予選を通過できたことで、自信を取り戻せて、いい流れになりました」と振り返る。その後は右肩上がりに状態も上がり、11月の国内ツアー「伊藤園レディス」では通算6勝目も挙げた。そして年末の米国ツアー予選会で2位になり、念願のメンバーカードを手にした。

決勝で「78」、「79」と苦しみ65位に終わった昨年と状態の違いは明らか。「今年は違ったコンディションだし、去年となるべく比較はせずに自分のプレーにしっかり集中したい」。警戒すべき点には縦幅が狭いパー3のグリーンを挙げる。「安全にグリーン中央を狙って2パットでパーというマネジメントをしていきたい」。メリハリも利かせながら上位をうかがう。

日本で過ごしている時には、悲しいできごとも知ることになった。これまで何度もバッグを担いでもらい、ともに戦ったキャディの渋谷一英さんが今月6日、42歳の若さで大腸がんのために亡くなった。22年の「ヤマハレディース葛城」でもタッグを組み、ツアー3勝目に導いてくれた人でもある。

「元々体調が良くないという話は聞いてました。自分がすごくしんどかった時に、1番近くで支えてもらったキャディさんでもあるし、残念な気持ちです。優勝した時は最終日が悪天候のなか、自分が求めていることをすべてやってくださった。すごくプレーしやすかったですし、選手のことを一番に考えてくれるキャディさんでした。たくさん担いでもらったので、感謝の気持ちしかないです」

報告を聞いた後には、自身のインスタグラムでも追悼の意を表したが、やはりプレーでその気持ちを“届けたい”という思いは強い。「自分の結果でしか恩返しはできないと思う。しっかり頑張りたいです」。勝みなみも手作りの喪章をつけプレーする意向を明かしており、それぞれが特別な思いを込める試合にもなる。

今季は4試合を戦い、3月に中国で行われた「ブルーベイLPGA」では12位タイ、続く「ファーヒルズ朴セリ選手権」(カリフォルニア州)では13位タイと上々の春先を過ごしている。現在のポイントランクは57位だが、それを大きく上げるチャンスでもある。「あっという間にメジャーが始まって、早いなという感じもしますけど、 やってきたことを発揮できるように頑張りたい」。天国に旅立った恩人に、最高のプレーを届けたい。(文・間宮輝憲)

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