PTA役員決めの憂鬱 「ポイント先取」でノルマ達成したけれど…

「PTAの役員決めが憂鬱」「本当に嫌」…そんな書き込みが交流サイト(SNS)上にあふれる春。子どもの小学校入学と同時に降りかかるPTAの役員問題ですが、コロナ禍の活動縮小を経て変化の兆しが見えています。秋田市のある小学校では専門部をなくし、保護者の負担を軽減。出発点には「コロナ前の姿に戻りたくない」という、切実な思いがありました。(デジタル編集部・内田洋子、2回続きの前編/後編はこちら)

気まずい空気の中、けん制し合う保護者たち
石井葵さん(41)=秋田市大住、自営業=にとって、PTAの第一印象は「押し付け合いの組織」だった。初めて関わったのは、今年中学3年になる長女が小学校に入学した8年前。役員決めの保護者会が4月の平日に開かれた。

事前の立候補者では必要枠が埋まっておらず、集まった保護者は「誰がやるのか」と、互いの顔色をうかがうような雰囲気。気まずい時間をしばし耐えた後で「文句なしの、じゃんけんで決めましょう」となる流れだった。仕事や家族の介護、乳幼児の世話など個別の事情をくんでもらうのは難しいと感じた。

一方、石井さんは入学の少し前、あるうわさを耳にしていた。

子どもが6年生になるまでの間に2回(2年)、

© 株式会社秋田魁新報社