企業による2025年卒採用の見通しは

2024年3月から2025年卒の就職活動が本格的にスタートし始めました。
企業の採用活動担当者はエントリーシートの受付や説明会の実施、スケジュール管理、書類選考、面接準備など、慌ただしく過ごされているかと思われます。
私も現在新卒の採用担当として、3月から始まりました採用活動の中で応募管理や説明会のスケジュール調整などの業務に励んでいます。

そうした中で、気になる企業の2025年卒採用の見通しについて、株式会社マイナビが「マイナビ2025年卒企業新卒採用予定調査」を発表しました。
こちらは2016年から2023年まで毎年調査を行っており、今回は1,842社から得た回答を集計しています。

採用計画を増やす企業は減少・前年並みが増加

25年卒の採用予定数は文理ともに「前年並み」が増加しています(文系:55.6%/前年比3.0pt増、理系:56.9%/前年比4.6pt増)。
ご覧の通り採用予定数が前年並みの企業は増加していますが、一方で、「増やす」と回答した企業は減少しております。
22年卒から24年卒にかけて企業の採用予定数が増加をしておりましたが、一時期の企業の人出不足は解消してきていると考えられます。

ただ、新卒採用実施の理由については、22年卒から25年卒にかけて「退職者の増加」と「前年に新卒を採用できなかった」という回答が増えています。
新卒の採用状況が活発化していますが、中途採用の市場もまた活発であり、退職者を補う目的として新卒の採用活動を行っている企業も多いようです。
このように、中途採用の市場も活発化している中で、転職による退職者を減少させるためには、昨今よくメディアなどで取り上げられている「働きやすさ」や従業員にとっての「自社の魅力」を考える必要があるかもしれません。

多くの企業は採用環境が厳しくなると予想

22年卒から25年卒にかけて多くの企業は採用環境が厳しくなると予想をしています。
内訳をみてみますと、文系学生、理系学生ともに採用環境が厳しくなると予想をしており、その要因については、70.8%の企業が新卒学生全体の数が減っていることを理由に挙げています。
少子化により学生の人数が減少していきますが、採用予定者数を減らす企業は少ないため、多くの企業がいかに説明会などでアピールをしていくかを考える必要があるでしょう。

その中で、採用の取組として47.2%の企業が初任給の引き上げを予定しています。
内訳としては、上場企業が57.9%で非上場企業が47.6%であり、全体的には賃上げが行われる傾向ですが、中小企業を中心に給与の引き上げが難しい企業もあると考えられます。
基本給の引き上げにつきましても初任給と同様の傾向があり、新卒採用実施の理由にある「退職者の増加」を防ぐための対策だと考えられます。

また、「応募時点で最初に配属される職種が決まっていると応募意欲が高まる」と回答した学生の割合は74.3%に上るため、このことを考慮した新卒の採用活動が求められるかもしれません。

私が現在、新卒の採用活動を行っている中で、担当者レベルで困難だと感じていることは、応募者を説明会につなげる、説明会参加者を選考につなげることです。
実際に、難易度が最も高くなると想定している採用フェーズについてのアンケートでは、「説明会参加者を選考につなげる」が37.5%、「応募者を説明会につなげる」が34.6%と、多くの担当者が同様のことを考えていました。

さいごに

この3月から多くの学生と企業の採用担当者が忙しく過ごす日々が始まっています。
この調査結果から、多くの企業が学生の採用に苦戦すると予想をしており、初任給の引き上げなどで採用の工夫をしていることが明らかになりました。
また、現在の学生は配属する職種が決まっていると応募意欲が高まる傾向がある点は、学生と企業のミスマッチをなくす一つの手段になるかもしれません。
これを機に、学生が採用活動でなにを求めているのかを考えてみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
マイナビ「2025年卒企業新卒採用予定調査」

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