「北斎漫画」 画力と眼力 雄弁に 長崎歴文博 コレクション展始まる

市井の人たちをユーモアに描いた作品が並ぶ会場=長崎市、長崎歴史文化博物館

 江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎(1760~1849年)の代表作の一つ「北斎漫画」の作品約200点を展示する「浦上コレクション 北斎漫画-驚異の眼・驚異の筆」が長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館で開かれている。同館主催、長崎新聞社後援。5月26日まで。
 北斎漫画は「富嶽(ふがく)三十六景」と並ぶ北斎の代表作。50代半ばだった北斎が1814(文化11)年、弟子の絵手本として初版を出すと、ユニークな図が庶民からも人気を博し、北斎没後の78(明治11)年まで60年余り刊行されたロングセラー。漫画とは「漫(そぞ)ろに描いた絵」と北斎がネーミングしたという。
 北斎漫画は墨と淡彩刷りで、全15編、883ページ、3千図以上に上る。生き生きとした人物表現、ユーモアに満ちた描写、独自の構図が、自ら「画狂人」と称して89歳まで描き続けた北斎の画力と眼力を雄弁に語る。今回展示する約200点は、江戸時代の暮らしや風俗、花鳥・山水、神仏や幽霊などを表現。旅をテーマにした7編では「肥前長崎より五島を見る」と記した風景も展示している。
 同館の施燕研究員は「気の向くまま描いており、何でもあり。徹底した観察眼と緻密かつ大胆な表現力があるから何でも描ける。北斎漫画の楽しい世界をご覧いただければ」と解説する。
 5日、開会式・内覧会があり、展示作品を所有する浦上蒼穹堂(東京)の浦上満代表が、北斎の魅力が凝縮した作品の数々を紹介した。

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