新型コロナワクチンで国を集団提訴 総額9152万円の損害賠償求める 接種後死亡も危険性「広報せず」

新型コロナワクチン接種後に死亡した男女の遺族など13人が、国を相手取り、東京地裁に集団提訴した。
原告は、国のワクチン推進の広報活動が、副反応や死亡例を適切に報告せず、リスクの十分な情報提供がなかったと訴えている。

13人が国を集団提訴 19件の死亡報告も「事実を無視」

新型コロナウィルスのワクチン接種をめぐり、接種後に死亡した男女の遺族など13人が、国を相手取り集団提訴した。

新型コロナワクチンについては、私たちのほとんどが接種してきた経緯もあり、非常に注目が集まる裁判になりそうだ。

ポイントはどこなのか、見ていく。

訴えを起こしているのは、ワクチン接種後に死亡した8人の遺族と接種後に副反応の健康被害を受けた5人。
13人は国に対して、総額9152万円の損害賠償を求め、東京地裁に集団提訴した。

原告の主張を見ていく。
訴状では訴訟の目的や意義について、このように書かれている。

「国がワクチン接種を、新聞広告、テレビCM、果てはユーチューバーまで使って広報するなどして強力に推し進める一方、歴史上、類を見ない頻度で接種後の副反応報告が挙がった。

そして、その中には重篤な後遺障害や死亡例も多数含まれていたにもかかわらず、そのようなマイナス情報については国民に事実上広報しないまま、接種を推し進め被害を拡げたことに対する責任を問うことを主眼とした訴訟である」

では、その訴状で問題視していた具体的なワクチン接種の広報について見ていく。

ワクチン接種の広報として、「新聞広告」、「テレビCM」、「ユーチューバー」を挙げていたが、訴状には、2021年5月9日・10日に厚労省が新聞広告に出した、65歳以上の方向けのワクチン関連の広告が例として挙げられていた。

広告には「免疫不全のある方や病状が重い方など、接種を慎重に検討した方がよい場合があるので、かかりつけ医にご相談ください」と書かれていた。

その下には副反応の可能性として、「ワクチンを接種した後、接種した部分の腫れ・痛み、発熱、頭痛などの副反応が起こることがありますが、多くは数日で回復します」と書かれており、さらに知ってほしいこととして、「どんなワクチンでも、副反応が起こる可能性があります」と書かれ、このような注意書きは何カ所かに示されていた。

この広告について、訴状では、広告が出る前の2021年4月30日の副反応部会資料で、19件の死亡報告があったが「副反応報告で死亡報告が相次いでいる事実は無視され、報告されていない」と訴えている。

そして政府は、随時死亡人数などの発表や報告を出していたが、この広告には死亡したことが書かれていない。
「事実は無視され、報告されていない」としている。

リスクを積極的に説明せず 「不正義」と主張

訴状には、政府の動画による呼びかけについても「被害を広げた」と書かれていた。

具体的に訴状では、岸田首相の3回目のワクチン接種の呼びかけが書かれていた。

2022年5月13日に公開された新型コロナウイルス対策「若者のワクチン接種」編で、岸田首相は「若い方々でも、新型コロナに感染し重症化する方もいます。また、感染後、症状が長く続く、いわゆる後遺症もあります。3回目接種をすることで、感染そのものを防ぐ効果、感染した際の重症化を防ぐ効果があります。自分を守り、家族や友人を守るために、ワクチンは、種類よりもスピード。3回目接種をご検討ください」と呼びかけていた。

この岸田首相のコメントが訴状には書かれていて、この動画については「副反応報告など不利益情報についてまったく触れられていない」としている。

さらに訴状には、当時のワクチン担当相の河野デジタル相と人気ユーチューバーの動画についても書かれていた。

2021年6月24日に、ユーチューバーの「はじめしゃちょー」と河野デジタル相が対談している動画だ。

河野デジタル相が「アメリカで2億回打ってるんですけど、ワクチンで死んでる人は1人もいない。そんなに心配することはないです」と話したことについて、訴状では、収録前日の2021年6月23日に行われた副反応検討部会で「6月13日までの累計接種回数は2368万5319回のうち、死亡報告数が254件。そのうち『関連あり』として報告されたものが20件」と報告されていて、アメリカでなく、日本の現実の接種を答えるべきで、「大臣による隠蔽(いんぺい)と評せざるを得ない」としている。

原告側の主張を要約すると、政府はコロナワクチンの接種を強く呼びかけたにもかかわらず、コロナワクチンのリスクについては、積極的には説明してこなかった。その姿勢について「不正義」としている。

このコロナワクチン集団訴訟について、17日午後4時過ぎに、林官房長官は「本日、新型コロナワクチンに関して訴訟が提起されたことは、報道で承知をしておりますが、訴状が届いていないと承知しておりまして、コメントは差し控えます。新型コロナワクチンに限らず、ワクチンについては、一般的にワクチンの有効性のみならず、ワクチンには不可避的に生じるリスクがあること、ワクチンによる健康被害につきましては、予防接種法に基づく健康被害救済制度があることなどについて、周知を行っていると承知をしている」とコメントした。
(「イット!」 4月17日放送より)

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