橋幸夫「引退」から1年で「生涯現役宣言」 80歳の気概と加山雄三ら他アーティストへの波及期待

「声が出る限り、歌い続けるつもりです」と語った橋幸夫(C)日刊ゲンダイ

橋幸夫(80)の生涯現役宣言に、会見場が沸いた。63年にわたる歌手生活から引退した昨年5月から1年弱、「亡くなる時が引退かと思う。もう私はやめません!」と誓ったのである。

復帰決断を後押ししたのが、ファンからの声。引退後、「勝手に引退して、私たちはどうすればいいの」「これでは死ねというのと一緒」「もう一度、歌を聴きたい」といった熱烈なメッセージが寄せられたそうで、「多くのおしかりの言葉をいただき、引退したのは軽率だったと後悔するようになった。声が出る限り、歌い続けるつもりです」などと語った。

今月26日、大宮ソニックシティでの「橋幸夫フィルムコンサート&トークショー」が復帰コンサートとなるという。

「芸能人に定年はなく、需要があれば、死ぬまで活動を続けられる一方、需要がなくなれば、活動したくても、続けられない。また、なによりも健康あってのもの。橋さんは幸せですよ」(女性誌芸能デスク)

人生100年時代、生涯現役はシニア世代の憧れ。好きな仕事でそれを実現しようという橋には「元気をもらった」「よおし、自分も」という声が上がっているらしい。

見渡せば、芸能界のアクティブシニアは少なくない。俳優・仲代達矢(91)はこの秋、舞台「肝っ玉おっ母と子供たち」で主演予定だし、このほど「笑点」を卒業した落語家の林家木久扇(86)は寄席などで落語をつづけている。ジブリの宮崎駿監督(83)は何度も引退を宣言しつつ、それを撤回し、新作「君たちはどう生きるか」でアカデミー賞長編アニメ賞を受賞。

「一度スポットライトを浴びると、生涯それを忘れられないといいますが、橋幸夫さんも、そういう気持ちがうずいているのかも知れませんね」と前出のデスクは続けた。

橋が「潮来笠」でデビューしたのは1960年、昭和35年のこと。いきなり大ヒットして、日本レコード大賞新人賞に輝き、NHK紅白歌合戦出場というキャリアはシニア世代ならお馴染み。舟木一夫、西郷輝彦との「御三家」は永遠のスターである。

芸能リポーターの小柳美江さんはこう言う。

「橋さんは引退を決断された理由として、声が出にくく、低音部分は崩れるとおっしゃってましたね。さすがのプロ魂だと思いましたけれど、年齢によって変わっていくのは自然なこと。同じように年齢を重ねているファンは、そんな今の橋さんの歌を聴き続けていきたいのだと思います。中森明菜さんが動画で今の歌声を披露し、喜ばれたように。生涯現役宣言はファンからのメッセージとおっしゃってましたが、そんなファンの気持ちが伝わったのでしょう。ますます素晴らしいステージを見せてくださる気がします」

やはりステージからの引退を表明している加山雄三(87)にも、改めて復帰コールが持ち上がるのではないかと小柳さんは予想している。ワンステージでも実現したら、往年のファンは歓喜だ。

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