【色の名前クイズ】どっちが「常磐色(ときわいろ)」?

日本には古くから伝わる色の名前があります。名前から想像できるものもあれば、予想外なものも。ここでは『増補改訂版 色の名前事典519』より、あまり聞きなれない色の名前を取り上げ、クイズにしました。今回は「常磐色(ときわいろ)」。果たして、常磐色はどちらでしょうか?

常磐色は【A】or【B】?

【A】
【B】

「常磐(ときわ)」とは何を意味しているのでしょうか。東京と宮城を結ぶ電車は「常磐(じょうばん)線」ですが、何か関係があるのでしょうか?

いずれが常磐色なのか、次のページで、常磐色と、もう一色についても色名の由来を詳しく解説しています。

常磐色は【B】

日本で常緑樹が永遠不滅の象徴となり、神聖な色とされているのと同様に、英語にもエバーグリーン(evergreen)という常緑樹を表す名詞があり一般に松柏(しょうはく)類のことを指します。

いつまでも新鮮なものを象徴し、名作、名画、名曲などの不朽の芸術作品のことでもあります。日本語の常磐色は英語のエバーグリーンと同じ意味合いの濃い緑の美称なのですが、英語のように永遠の若さに対する憧れはありません。長い歴史を生き抜いてきた神秘的な生命の力に対する畏怖の念が籠められているように見えます。

常磐色は松や杉などの常緑樹の老木の深い緑を表します。「新古今和歌集」のよみ人知らずの一首にもこんな歌があります。

常磐なる松にかかれる苔ならば
年の緒ながきしるしとぞ思ふ

常夏の国には常磐色のような色名はありません。

常磐色は、日本産業規格(JIS)「物体色の色名」で定められた「慣用色名」269色のうちの1色です。

それでは【A】は何色?

【A】は鶸色(ひわいろ)

小鳥の鶸(ひわ)の羽毛のような、かなり黄色に近い黄緑色の色名です。この色は鶸の雄の羽毛からとられたようで、雌は全体に鈍い色をしているようです。

この小鳥は、寒くなると日本に群れをなして渡ってくるので、四季の変化に敏感な日本人に冬の到来を告げる使者でもありました。また、鳴き声がいいので飼育されることも珍しくなかったそう。

日本の色名には、動物の羽や毛皮の色からとられたものは多くないのですが、鶸色という色名は鳥の羽毛からつけられた名前としては早くから知られていたものの一つで、中世の終わりにはすでに用いられていたのではないか、と考えられます。18世紀末にカナリヤが日本に渡来するまでは、鶸は鳥の種類の中では黄色い鳥の代表であったにちがいありません。

鶸色も、日本産業規格(JIS)「物体色の色名」で定められた「慣用色名」269色のうちの1色です。

※この記事は『増補改訂版 色の名前事典519』(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。


監修者
一般財団法人 日本色彩研究所

日本で唯一の色彩に関する総合研究機関。1927年画家・故和田三造氏により日本標準色協会として創立。1945年財団法人日本色彩研究所として改組。1954年、世界に先駆けて「修正マンセル色票」の色票化研究に着手し、諸外国の研究機関に寄贈するなど、長年にわたり先端的な研究を続ける。諸省庁、自治体からの要請への対処、JISの制定や関連色票の作成等への参画、ガイドラインの提案などに携わる。

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