【まるも亜希子の「寄り道日和」】シビックe:HEVでJoy耐にチャレンジです。

by まるも亜希子

ホンダのハイブリッドシステム「e:HEV」の走りを鍛え、クルマファンを虜にするような楽しさを追求するプロジェクト第2弾は、シビックe:HEVでのチャレンジです。いよいよ7月のJoy耐に向けて、スタートしました

モータースポーツの未来やクルマファンの夢を見つめながら、次世代パワートレーンをもっと面白く鍛えていこうという、新しいチャレンジがスタートしました。これはホンダのエンジニアたちと、ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」がタッグを組み、シビックe:HEVで耐久レースに参戦しながら開発にフィードバックしていく取り組みで、フィットe:HEVに続く第2弾となります。

実は私は2004年に、日本のJAF公認レースに初めて参戦することになった量産ハイブリッド車、初代シビックハイブリッドで7時間耐久レース「Joy耐」に参戦した経験があります(結果は私のミスで散々だったのですが……)。あれからちょうど20年。その間に2代目インサイトやCR-Z、フィットe:HEVとマシンは移り変わりながら、エンジニアの皆さんのホンダ魂のおかげで、たくさんの経験を積むことができました。

そして今また、e:HEVと名称が変わったシビック・ハイブリッドの子孫と一緒にサーキットに立てることが、本当に嬉しいのと同時に不思議なご縁を感じています。メンバーの石井昌道氏、橋本洋平氏とは、2代目シビック・ハイブリッドから苦楽を共にしてきた仲間。ジャーナリストの大先輩でありレジェンドドライバーでもある桂伸一氏は、インサイトのころに別々のチームながら一緒にJoy耐にチャレンジしたご縁があります。

今回、7月に開催されるJoy耐に向けてシビックe:HEVを走らせるにあたり、初年度はなるべく素の状態でいい面わるい面を洗い出し、次につなげていこうという計画を立てていますが、どうやら目標はもっと高いところにある模様? かなりワクワクしています。

そんなわけで最初の公開練習日にモビリティリゾートもてぎへと乗り込んだ私たち。昨年11月にテストとして2時間耐久レースのミニJoy耐に参加した時は、トラブルが出てしまったので今回はその原因を突き詰めてキッチリ直し、同じ症状が出ないかどうかの確認と、タイヤをどうするかの検証が課題となっていました。ちなみにミニJoy耐の時は、横浜ゴムのADVANのラジアルタイヤで走ったのです。

午前中の練習走行で同じくラジアルタイヤを履き、なかなか快調に走るシビックe:HEV。気になっていた症状も出ていないということで、午後の走行ではスリックタイヤに履き替えてみようということになりました。チームとしての予想では、それだけでタイムが数秒、アップするのではないかという目論見。

ところが、走り出してドライバーがいろいろトライしてみるものの、みんなが「あれ?」という表情です。なぜか、予想していたようなタイムが出ない!?

ラジアルタイヤからスリックタイヤに履き替えたら、それだけで数秒のタイムアップが見込めると考えていた予想は、なぜか裏切られるという結果に。ドライバーによれば、それぞれに走りやすさ、走りにくさがあって一長一短とのことで、どっちを選択すればよいのか悩みどころです

何度もピットインしては、「あーでもない」「こーでもない」と試行錯誤するのですが、結局この日はなぜなのか分からずじまい。タイヤの選択は迷路に入ってしまったのでした。タイムそのものは、そんなに悪くないのになんだかスッキリしない(笑)。次の公開練習日までに解決策をいくつか考えて、再びトライしてみるしかないですね。

でもこうして、現場でさまざまな議論が飛び交い、手を入れて探っていく様子はまさに、走る研究室。きっと今ごろエンジニアの皆さんは業務の合間に、次の一手に知恵を絞っていることでしょう。本戦までにどれくらい成長するのか、またレポートしたいと思います。

コクピットはこの通り、軽量化されたりロールバーが入ったり、すでにレーシングカーらしく変身。チーム監督の奥山さんの遊び心で、流れるウインカーがついているんですよ(笑)。制限速度が40km/hのピットロードで違反しないように、「ピットロードモード」のボタンも加わりました。ピットロードに入ってから40km/hに達するまでの加速は、はたから見ていてもめっちゃ速いです!

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