【日光】山内の世界遺産・日光二荒山神社の「弥生祭」の本祭りが17日、同神社で行われた。祭りのハイライトで、東西11町の花家体(はなやたい)が威勢よく境内に入る「繰り込み」などが繰り広げられた。同神社のみこし渡御も5年ぶりに挙行。祭りが本来の姿を取り戻したことに、観光関係者からは「観光都市・日光」完全復活の追い風となることを期待する声も聞かれた。
祭りは日光に本格的な春の到来を告げる伝統行事。新型コロナウイルス禍のため規模を縮小して実施されてきたが、昨年は繰り込みなどを4年ぶりに復活していた。
11の家体は同神社大鳥居前に集結。先番当番町・板挽(いたひき)町の本家体から繰り込みをスタートした。おはやしが奏でられる中、住民らに引かれた家体は「わっしょい」などのかけ声とともに参道を駆け上がった。
開始時には小降りの雨だったが、全家体の繰り込みが完了するころには春の日差しに包まれた。国内外から訪れた多くの観光客は、迫力ある光景をカメラなどに収めていた。
板挽町の筆頭頭役を務めた福田信康(ふくだのぶやす)さん(43)は「無事果たせてよかった。熱心なご指導もあり、おはやしも頑張ってくれた」と安堵(あんど)の表情だった。
市内の2023年の外国人宿泊者数は過去最多を更新した。一方で、国内を含めた観光客入り込み数は前年比では増加したものの、コロナ禍前の19年には届いていない。
市観光協会日光支部の目崎充寛(めざきみつひろ)事務所長(47)は「今年は世界遺産登録25周年。これを契機により多くの人が訪れてくれれば」と期待を寄せていた。