中日・涌井秀章に恩師が太鼓判「37歳でも老けない根拠」…規定投球回到達してなお防御率0.00

涌井(C)共同通信社

規定投球回に到達した中日・涌井秀章(37)が、開幕からの連続無失点を「17回3分の1」に伸ばし、防御率0.00でトップに躍り出た。

昨17日のヤクルト戦で今季本拠地初先発。三回まで毎回走者を背負い、5回で87球を要したものの、要所で粘り、5安打無失点に抑えた。今季はヤクルト戦で6回、広島戦で6回3分の1、3試合目のこの日も無失点を継続した。

6日に史上8人目の「1年目から20年連続勝利」の偉業を達成した。もともと精密機械のような制球力には定評があるが、アラフォーになっても、150キロに迫る直球を投げ込むなど、衰えを感じさせない。

横浜高の元部長で涌井の恩師である小倉清一郎氏がこう証言する。

「高校時代から走ることが好きで、外野のポール間を走りながら受けるアメリカンノックを30分間ブッ続けでやっても平気。自分から『やってください』と頼んできた教え子はヒデだけです。この年齢になっても投手としてピンピンしているのは、下半身の強さと無関係ではないでしょう」

小倉氏によれば、涌井は高校2年秋の県大会で悔しい負け方をし、冬のトレーニングで走りまくったことで、3年春には130キロ台の直球が140キロ台に上昇。3年夏には最速148キロをマークするなど、西武からドラフト1巡目で指名される投手に成長を遂げた。「冬の成果は後になって表れるものです」と恩師は笑う。

横浜高の歴代投手の中で、同校の長浜グラウンド1周を最も速く走ったのは、松井光介(元ヤクルト)で50秒ほど。涌井は歴代2位で52、53秒と遜色なかったという。

「高校時代の私とのトレーニングで、ヒデはアメリカンノックの『スピード』が好きだった。吐くほどつらい練習のはずが、ヒデは『あれが一番楽だった』と言うから驚きます。オフに自主トレを共にする横高の後輩・柳裕也(中日)に聞くところによると、午前中はランニングのみとか。涌井考案のメニューはとにかく走りまくるから、29歳の柳が音を上げるほど。走っているからこその無尽蔵のスタミナでしょう。お手本のような投げ方だから、肩、肘は悪くない。まだまだできますよ」

小倉氏は先日、涌井と電話で話をした際、こう激励したという。

「横高OB初の名球会入りはヒデ、おまえに任せたぞ!」

涌井は今季1勝で通算160勝。恩師に懇願された「あと40勝」も、衰え知らずの右腕にとって大きなモチベーションになっているようだ。

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涌井はかつて日刊ゲンダイのインタビューで「50歳まで頑張りたい。この年になってからそういう気持ちが強くなっています」と話していた。中日移籍の舞台裏を含め、●関連記事【もっと読む】…でそれらを詳しく報じている。

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