西島秀俊、『蛇の道』出演で黒沢清監督と5度目のタッグ 青木崇高が柴咲コウの夫役に

6月14日に公開される黒沢清監督の新作映画『蛇の道』の第2弾キャストとして、西島秀俊と青木崇高が出演が発表された。

『岸辺の旅』や『スパイの妻』などの黒沢監督が手がけた本作は、1998年2月21日に劇場公開された『蛇の道』を、黒沢監督初の試みとなるセルフリメイク作品として、26年の時を超えて蘇えらせたもの。フランスの映画制作会社CINEFRANCE STUDIOS(シネフランス・スタジオ)とKADOKAWAによる日仏共同製作となる。

何者かによって8歳の愛娘を殺された父、アルベール・バシュレ。偶然出会った精神科医の新島小夜子の協力を得て、犯人を突き止め復讐することを生きがいに、殺意を燃やす。誰に、なぜ、娘は殺されたのか。とある財団の関係者たちを2人で拉致していく中で、次第に明らかになっていく真相。“必ずこの手で犯人に報いを”。その先に待っているのは、人の道か、蛇の道か。

全編フランスロケ、フランス語にて撮影された本作の主演・新島小夜子を務めるのは、柴咲コウ。他人の復讐に協力する謎に包まれた精神科医という役どころを、撮影の約半年前からフランス語のレッスンを受け演じた。そして、殺された娘の復讐に燃える男アルベールを『レ・ミゼラブル』のダミアン・ボナールが演じる。

黒沢監督とは『クリーピー 偽りの隣人』を含む4作品でタッグを組んでいる西島が演じるのは、パリで精神科医として働く小夜子の元に通う患者・吉村。西島は本作への出演を振り返り、「黒沢監督と再びご一緒できたこと大変嬉しく思います。あの復讐の物語が再び描かれる、しかも舞台はフランスということを聞き、驚き興奮しました。復讐の果てにはいったい何があるのかが描かれています。これまでに見たことのない物語が待っていると思います」と語った。

そして、NHK連続テレビ小説『ちりとてちん』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、映画『るろうに剣心』シリーズ、韓国映画『犯罪都市 NO WAY OUT』、『ゴジラ-1.0』などに出演する青木が、小夜子の夫・宗一郎を演じる。青木は、「国内外に多くのファンを持つ黒沢清監督の作品に関われたこと、同じ日本人としてとても誇らしく思いました。この映画を世界のより多くの方に観ていただきたいです」とコメント。

また、黒沢監督は、「西島さん、青木さん共に、この映画に素晴らしい多様性と華やかさと、そしてただならぬ緊張感とをもたらしてくれました」と2人のキャスティングについて語っている。

あわせて、場面写真とメイキングも公開。場面写真では、精神科医・小夜子のもとへ診察に訪れた吉村(西島秀俊)が虚ろな目でじっと何かを訴えるような姿、小夜子の側面にぴったりと立ち生気の無い顔で見下ろす姿、薄暗い殺風景な部屋でパソコンに向かい、パリに住む小夜子に語りかけている宗一郎(青木崇高)の姿が切り取られている。メイキングでは、西島と黒沢監督の2ショットや、笑顔を見せる青木と黒沢監督の様子が確認できる。

コメント
黒沢清(監督)
西島さん、青木さん、共にたった一日のパリロケでしたが、この映画に素晴らしい多様性と華やかさと、そしてただならぬ緊張感とをもたらしてくれました。現場では、柴咲さんも久しぶりの日本語の芝居でずい分リラックスしていらっしゃいましたが、いざカメラが回り始めると、互いの腹を探り合うような、お二人との不穏なやりとりに、フランス人スタッフたちもただただ圧倒されていたようです。

西島秀俊(吉村役)

黒沢監督と再びご一緒できたこと大変嬉しく思います。
『蛇の道』はとても好きな作品です。あの復讐の物語が再び描かれる。しかも舞台はフランスということを聞き、驚き興奮しました。
私が演じた吉村は、監督が実際に会ったことのある人物にインスパイアされて出来上がったと伺い、現場で一緒に人物像を作り上げていきました。作品をご覧になる皆様に吉村という人間がどのように映るのかとても興味があります。そして柴咲さんと再び共演し、その鋭い感性と高い集中力に引き込まれる事で、小夜子と吉村の独特の緊張感を生み出すことが出来たのではないかと感じています。
『蛇の道』は復讐の果てにはいったい何があるのかが描かれています。これまでに見たことのない物語が待っていると思います。

青木崇高(宗一郎役)

緊張と狂気をはらんだ物語とは全く違って、現場の雰囲気は監督のお人柄が映し出されているような、とても温かく心地のよいものでした。
フランスの現地スタッフに敬意を払いながら、1カットずつ丁寧に撮られる姿はとても印象的でした。
主演の柴咲さんは、撮影前からしばらくフランスで生活されていたからなのでしょう、佇まいがしっかりと馴染んでいて、大変驚きました。また立ち姿がとても美しく感じました。
国内外に多くのファンを持つ黒沢清監督の作品に関われたこと、同じ日本人としてとても誇らしく思いました。
この映画を世界のより多くの方に観ていただきたいです。
(文=リアルサウンド編集部)

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