東通原発(青森県東通村)工事完了延期へ 東北電、新目標提示先送り

 東北電力は、再稼働を目指す東通原発1号機(青森県東通村)の安全対策工事を巡り、目標としていた2024年度中の完了を断念し、工程を延期する方針を固めたことが17日、複数の関係者への取材で分かった。現段階では新たな目標時期は明示せず、原子力規制委員会の安全審査で、プラント(設備)分野に移行する準備が整った段階で明らかにする方針。22日にも県、村に詳細を説明するもよう。

 東通1号機の安全審査は3月までに地震・津波分野で、耐震設計の目安となる揺れ「基準地震動」の最大値を700ガル、敷地(海抜13メートル)に押し寄せる津波高を想定した「基準津波」を最大12.1メートルと策定。一方、重大事故への対処などに関する設備分野は、大半の審査項目が依然として未着手のままとなっている。

 関係者の話を総合すると設備分野の審査に向け、発生頻度はより低いものの、基準津波を超える可能性のある津波の影響も分析したところ、浸水対策を含む審査対応に時間をさらに要する見通しになったという。

 安全対策工事は設備審査の結果を踏まえて実施するため、「完了時期の想定は困難」(関係者)。東北電は工程の精査が可能になった段階で、新たな工事完了時期を示したい考え。再稼働の目標時期についても明示しないとみられる。

 東北電青森支店は17日の取材に「現時点で決まったものはない」とした。

 東通1号機は2005年12月に営業運転を始めた。11年2月に定期検査入りして間もなく、東京電力福島第1原発事故が発生。14年に申請した安全審査の長期化もあり、13年超にわたって運転停止が続く。東北電は地震・津波分野の審査を6月までに終え、25年3月までに安全対策工事を完了させるとの方針を掲げてきた。

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