男性用の化粧品を販売する専門店や売り場が、広島県内で広がっている。美容に関心を持つ男性が若者を中心に増えているためだ。洗顔料や美容液といった基礎化粧品やシャンプー、メーク用品と品ぞろえは多彩。メークセットを開発した熊野筆メーカーもある。
広島市中区袋町で昨年1月に開業した路面店「メンズショップ」は、スキンケア用品やシャンプーなど約80点をそろえる。シャンプーとボディーソープ兼用の商品が人気を集めている。肌や唇のトーンを明るくしたりシミを隠したりするメーク用品も加えた。
来店客は10~30代が中心。河野樹店長は「以前より美容に興味を持つ男性が増え、40、50代の来店者もいる」と説明する。
百貨店のそごう広島店(中区)は昨夏から6階に専用売り場を設けている。ボディーソープや香水など約180点を扱う。男性向けの贈り物として購入する女性客も多いという。
化粧品販売のフランス屋(同)によると、この10年ほどで男性客が増えてきたという。韓国の男性タレントが肌の手入れを交流サイト(SNS)で発信していることも影響しているとみる。米大リーグの大谷翔平選手を美容液の広告モデルに起用するブランドもある。
オリジナルのメークセットを開発したのは熊野筆製造の白鳳堂(熊野町)。用途の違う化粧筆6本に手入れ用の筆拭いとせっけんが付く。持ち手の色は、つやを抑えた黒にした。商品化は2021年。新型コロナウイルス禍で、画面に顔が大きく映るオンラインのやりとりが広がり、印象が変わるメークを男性に体験してもらおうと考えた。
矢野経済研究所(東京)の調査では、21年度のメンズビューティー市場は2025億2千万円と前年度から2・1%拡大した。男性の身だしなみへの意識の高まりから、今後も緩やかに成長するとみている。