“分断による争いの無意味さ”を説くダークファンタジー・アニメ映画『ユニコーン・ウォーズ』、予告編など公開

『サイコノータス 忘れられたこどもたち』(2015)で知られるスペインの鬼才、アルベルト・バスケス監督の長編2作目にして最新作『ユニコーン・ウォーズ』(2022)が、2024年5月25日(土)より東京・渋谷 シアター・イメージフォーラムにて先行公開、そして5月31日(金)よりT・ジョイPRINCE品川ほか全国順次拡大公開することが決定。あわせて、予告編&ヴィジュアルが公開されています。

アルベルト・バスケス監督が生み出す不気味さと可愛さを兼ね備えた作風があふれ出ている本作は、『地獄の黙示録』x『バンビ』x『聖書』という企画コンセプトに、テディベアとユニコーンの最後の聖戦を、血しぶき、内臓、ドラッグなど“アブナイ表現”をたっぷり混ぜ込んで作り上げた、“究極の反戦アニメーション”。企画・制作期間に6年を要し、250人以上の精鋭スタッフが、50体ものキャラクターと1,500もの背景によって作り上げた、2Dと3Dアニメーションを融合。音楽を巧みに駆使して、シチュエーションやキャラクターとシンクロしながら、一貫性を保つ芸術的な作品に仕上げています。『ユニコーン・ウォーズ』のキャラクターの可愛い見た目から、一見子供向けアニメーションと間違えそうですが、家族関係、宗教、環境、悪の起源、そして権力を支配する意味を語りながら、“分断がもたらす争い”がいかに無意味であるかを説く大人のためのダーク・ファンタジー作品です。

物語の舞台は、とあるディストピア。魔法の森に住む“テディベア”と“ユニコーン”の間には、先祖代々に渡って戦いが繰り広げられていました。テディベアのアスリンは双子の兄ゴルディと軍の新兵訓練所で屈辱的な特訓の日々を過ごしていたのですが、ある日、森から帰ってこない熊の部隊を捜すため、捜索部隊に参加したアスリンたちはその森で危険な生物や無残な姿となった隊員たちを目にすることに。彼らは、彼らの聖書にある「最後のユニコーンの血を飲む者は、美しく永遠の存在になる」という言葉を信じてユニコーンの生息する深い森へと進軍してくのですが、その地で巻き起こる悲惨で残酷な出来事の行く末には、とんでもない結末が待ち受けているのでした……。

可愛い見た目とは裏腹に、ドラッグ、戦争、大量殺人など辛い現実をグロさで表現した本作。グロさと美しさ、相反する描写や、作曲家のホセバ・ベリスタインによる一貫性を持つ芸術的な音楽も秀逸です。また、アルベルト・バスケス監督が「狂信的な考えがどのように戦争拡大に影響するかを描きたかった」と語っている通り、テディベアたちは見た目の可愛らしさに反して、次々と想像を超えた行動をとっていきます。一方で、テディベアとユニコーンとの闘いで描かれる集団に起こる「分断」だけでなく、テディベアたちの生い立ちをも描くことで家族内での不和や不寛容という身近な「分断」も描かれます。愛ゆえの憎しみが、無駄な分断を生みだす世界。平和な神の楽園はどこにあるのか?!スペインの鬼才が描く〈鮮烈の創世記〉に注目です。

©︎2022 Unicorn Wars

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