コントラバス1本で描き出す究極の無伴奏「第3回 無伴奏の世界」

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「無伴奏」とは、伴奏を伴わないこと、またはそのような楽器を指す音楽用語だ。過去の作品においては、やはりJ.S.バッハの作品が際立って名高い。「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」を筆頭に、「無伴奏チェロ組曲」や「無伴奏フルートのためのパルティータ」など、1本の楽器の機能と、その奏者の能力を極限まで引き出す作品の魅力は、何物にも代えがたい。これらの名曲は、今や当該楽器のみならず、様々な楽器によって演奏されてきたことからも、その魅力の大きさが感じられる。

もちろんバッハの後に続く作曲家たちも負けていない。歴史を紐解いてみれば、パガニーニ、イザイ、クライスラー、バルトーク、プロコフィエフなどが、ヴァイオリンのために。そして、レーガー、ストラヴィンスキー、ヒンデミットあたりがヴィオラのために。チェロには、コダーイ、ブリテン、カサドなどの名作が存在するほか、他の楽器のための作品も目白押しだ。これはまさに、楽器の進歩もさることながら、演奏技術の圧倒的進化が成せるわざと言えそうだ。

さて、この「無伴奏」をテーマに開催される好企画「無伴奏の世界」の第3回目に登場するのが、コントラバスであることが興味深い。オーケストラの重低音を担うコントラバスは、アンサンブルの影の立役者と言える存在だ。そのコントラバス1本で奏でる「無伴奏の世界」とはこれいかに。

この稀有なステージの登場するのが、ドイツのSWR交響楽団(旧シュトゥットガルト放送交響楽団)コントラバス奏者の幣隆太朗(へい・りゅうたろう)となれば、これはますます期待が募る。

新進気鋭のコントラバス奏者が挑む“無伴奏重低音の異空間”を聴き逃すことなかれ。

第3回 無伴奏の世界 幣 隆太朗 コントラバス

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2402409

7月6日(土)14:00開演
東京文化会館小ホール(東京・上野)

西田由美子:転生
細川俊夫:唄(ばい)
一柳 慧:空間の生成
平川加恵:さくらさくら変奏曲 ※コントラバス版 世界初演
テッポ・ハウタ=アホ:カデンツァ
ジュリアン・ツビンデン:バッハに捧ぐ
エミール・タバコフ:コントラバスの動機
ペトリス・ヴァスクス/バス・トリップ
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007(コントラバス独奏)

●幣 隆太朗(コントラバス)Ryutaro Hei/Contrabass

10歳より、故・奥田一夫氏に手ほどきを受ける。
1999年、兵庫県立西宮高校音楽科卒業、同年、東京藝術大学入学。
2001年、渡独。ドイツ・ヴュルツブルク音楽大学入学。DAAD外国人のための学内コンクールで1位となり、奨学金を授与される。
2005年、同大学ディプロマ試験を最高得点で卒業、同大学院マスターコースに入学。
同年ベルリン国立歌劇場オーケストラ(シュターツカペレ・ベルリン)のアカデミー試験に合格、首席指揮者ダニエル・バレンボイム指揮のもと、オーケストラの一員として研鑽を積む。
2007年、SWR交響楽団(旧シュトゥットガルト放送交響楽団)に入団。
現在、同楽団団員として、ドイツ国内外でのソロ・リサイタル、音楽祭への参加、小菅 優、樫本大進、庄司紗矢香、フィリップ・トゥーンドゥル、セバスティアン・マンツ、セバスティアン・ジャコーなど、世界を代表するソリストとの室内楽の共演等、精力的に活動している。日本では毎夏、日本帰国リサイタル・ツアーを開催。
2010年よりサイトウ・キネン・オーケストラのメンバーとして公演に参加。
2012年より上野製薬株式会社より1670年製コントラバスの名器「ブゼット」を貸与されている。
2014年より、ヴァイオリン白井圭、チェロ横坂 源と共に、ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ結成。
2016年、兵庫県芸術奨励賞、神戸市文化奨励賞、同時受賞。
2017年、関西クリティッククラブ賞受賞。
文屋充徳、奥田一夫、河原泰則、永島義男、南出信一、村上満志、山本 修、マティアス・ヴィンクラーの各氏に師事。

http://www.millionconcert.co.jp/concert/detail/2024_07/guide/240706mubansou_hei.html

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