ロックスターはサッカーがお好き?音楽界とのコラボユニフォームまとめ

写真:Getty Images

眺めているだけでも楽しいサッカーのユニフォーム。見る人をくぎ付けにする多様なデザインは広告塔としての役割も併せ持っており、アメリカの経済誌『Forbes』によれば、かつてFCバルセロナの胸スポンサーとして契約していた楽天株式会社(契約当時の商号)は、年間5500万ユーロ(約71億円)もの大金を支払っていたそうだ。

それほどの価値をもつサッカーユニフォームと近年コラボしているのが音楽界だ。サッカーファンだけでなく多くの音楽ファンの心をも掴むコラボユニフォームは、双方にとって新たなファン層へのアプローチとしてもってこいである。今回はアイコニックな存在になり得る音楽界とのコラボユニフォームについて紹介する。これから販売されるものもあり、ファン必見だ。


ガビ 写真:Getty Images

FCバルセロナ×ザ・ローリング・ストーンズ

2023/24シーズンのラ・リーガ(スペイン1部)第11節FCバルセロナ対レアル・マドリードの試合(エル・クラシコ)でバルセロナの選手たちが着用したザ・ローリング・ストーンズとのコラボユニフォームが大きな話題を呼んだ。

音楽ストリーミングサービス『Spotify』とスポンサー契約を結んだ2022/23シーズン以降、エル・クラシコを戦うユニフォームとして同シーズン第9節にはラッパーのドレイク、同第26節にはスペイン人ミュージシャンのロザリアとコラボしたユニフォームを発表し着用していたバルセロナ。3度目となる前述の試合では、約18年ぶりにアルバム『ハックニー・ダイアモンズ』を全世界同時発売したイギリスの有名ロックバンド、ザ・ローリング・ストーンズとのコラボレーションが実現。ユニフォームにはファンのみならず世界中で知られているあの有名な舌と唇のロゴマークがプリントされた。

同試合にはボーカルのミック・ジャガーとギターのロン・ウッドも観戦に訪れたが、マドリードのMFジュード・べリンガムの2発により1-2で惜しくも敗北。第4弾となる次回はコロンビアのシンガーソングライターカロルGとのコラボが予定されており、2024年4月22日午前4時から行われる第32節のエル・クラシコで選手がどんなユニフォーム姿を見せるか注目だ。アーティストの名を背負い2連敗は避けたいところだ。


アンドレ・オナナ 写真:Getty Images

マンチェスター・ユナイテッド×ザ・ストーン・ローゼズ

マンチェスター・ユナイテッドも2023/24シーズンに音楽界とのコラボレーションを実現させたクラブの一つだ。イングランドのマンチェスターに本拠地を構えるユナイテッドは、同じくマンチェスター出身のロックバンド、ザ・ストーン・ローゼズとのコラボアイテムを発表した。

ユナイテッドのホームスタジアムであるオールド・トラッフォードでは、サポーターがローゼズの名曲『This Is The One』を合唱するなど以前からクラブとバンドの繋がりは深い。ユナイテッドのサポーターでもあるギターのジョン・スクワイアがデザインに参加しており、前述の曲が収録されている1stアルバム『The Stone Roses』(1989年発表)のアートワークを採用し、ユニフォームのほかにもトラックジャケットや長袖Tシャツ、帽子など複数のアイテムを展開している。

襟の内側に金色でバンド名があしらわれているものや、ローゼズのトレードマークであるスライスレモンがプリントされたものなどアイテムによってデザインは様々。また、このコラボアイテムに付けられたクラブのエンブレムは、サッカーボール部分がスライスレモンに置き換えられているなどファンにはたまらない遊び心いっぱいのデザインだ。


アーリング・ハーランド 写真:Getty Images

マンチェスター・シティ×オアシス

2009年に解散したイギリスのロックバンド、オアシスの元メンバーで弟(リアム・ギャラガー)と共にマンチェスター・シティの大ファンとして知られるノエル・ギャラガーは、今年3月8日『The BBC’s Friday Football』のポッドキャストに出演した際、来季(2024/25シーズン)のマンチェスター・シティの3rdユニフォームがオアシスの1stアルバム『Difinitely Maybe』からインスピレーションを受けたデザインになることを明かした。

ジョゼップ・グアルディオラ監督とも交流があり、たびたびシティのロッカールームに顔を出しては弾き語りなどもしているノエル。デビューアルバム発売から30年となる節目の年に、シティのユニフォームデザインに関わることができ光栄だと話している。シティファンはもとより世界中のオアシスファンからも注目が集まっており、コラボユニフォームのお披露目が待ち遠しい。

シン・リジィとのコラボユニフォーム 写真:Getty Images

ボヘミアンFC×シン・リジィ

アイルランド1部リーグで優勝経験もある古豪のサッカークラブ、ボヘミアンFC。2022シーズンにはレゲエの神様ボブ・マーリーとのコラボユニフォームを展開し話題を呼んだ。そして今回、2024シーズンのアウェイユニフォームでコラボしたのは、同じくアイルランドのロックバンド、シン・リジィである。

胸にバンドのロゴがプリントされたユニフォームはファンの心を掴むクールな一着。アルバム『Black Rose : A Rock Legend』(1979年発表)のジャケットデザインになっていた紫色のバラのモチーフが全体に施され、背面の首元には「The Boys Are Back In Town」の歌詞が刻まれている。また、このユニフォームは収益の10パーセントがダブリン市内で社会的に孤立した子どもたちに音楽を届ける活動に寄付されるという。音楽界とサッカー界が融合することで生まれる新たな価値を象徴するコラボレーションである。


ジェフユナイテッド市原・千葉×JAPAN JAM

富士スピードウェイや幕張メッセなどを会場に2010年から開催されていた野外音楽フェスティバル『JAPAN JAM』。2017年以降は千葉市蘇我スポーツ公園での開催となり、翌2018年からは同公園内にホームスタジアム(フクダ電子アリーナ)を構えるジェフユナイテッド市原・千葉とのコラボユニフォームがオフィシャルグッズとして販売されている。

今年のデザインはジェフカラーである黄色と緑のスプラッシュ柄。イベント開催日は2024年4月28日~29日、5月3日~5日までの5日間で会場はもちろんJAPAN JAMの公式サイトからオンライン購入も可能だ(4月19日受付開始予定)。ライブ終了後はサッカー観戦時も着用できそうな優れものだ。


アスルクラロ沼津 サポーター 写真:Getty Images

アスルクラロ沼津×ラブライブ!サンシャイン!!

2022年、静岡県沼津市を拠点にJ3を戦うアスルクラロ沼津は、同じく沼津を舞台に描かれたアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』とのコラボユニフォームを発表。翌2023年には第二弾も販売された。

駿河湾から吹く強い西風を防ぐため江戸時代以前から作られてきた竹垣「沼津垣」をアニメに登場するアイドル「Aqours(アクア)」のメンバーカラーで表現したコラボユニフォームは、沼津市制100周年に相応しいデザインでJリーグが関わりを続けてきた「地域」というテーマに新たな可能性を感じさせてくれるアイテムだ。


日産スタジアム 写真:Getty Images

音楽界とのさらなるコラボに期待

ここまで音楽界とサッカーとのコラボレーションを紹介してきたが、その歴史はまだまだ浅い。横浜F・マリノスのホームである日産スタジアムや北海道コンサドーレ札幌のホーム札幌ドームでは数々の音楽イベントが行われている。選手の入場曲やチャント(応援歌)など音楽とサッカーは切っても切れない関係にあるが、Jリーグと日本の音楽シーンに目を向ければその交流は発展途上ともいえる。

2022年10月。アメリカのシンガーソングライター、ブルーノ・マーズが東京ドームで来日公演を行った際、そこを本拠地としている読売ジャイアンツのユニフォームを着て登場する一幕があった。彼の人柄ならではの出来事かもしれないが、世界的ミュージシャンの行動はそれだけでかなりのプロモーションになる。サッカー界が今後さらに発展していくためにも、音楽界とタッグを組み常に注目されることを期待したい。

© フットボール・トライブ株式会社