豊田章男会長、世界ラリー東北開催の可能性に言及 達増知事も前向きに受け止め

by 編集部:谷川 潔

「新型LBX~東北と走る~」イベント終了後、囲み取材に答える金ケ崎町 髙橋寛寿町長(左)、岩手県 達増拓也知事(中)、トヨタ自動車株式会社 代表取締役会長 豊田章男氏(右)

WRC東北開催についての発言があった、「新型LBX~東北と走る~」イベント

4月17日、小さな高級車「レクサス LBX」を生産するトヨタ自動車東日本で行なわれた「新型LBX~東北と走る~」イベントにおいて、WRC(世界ラリー選手権)の東北開催の可能性についてトヨタ自動車 代表取締役会長 豊田章男氏が言及、イベントの来賓として訪れていた岩手県 達増拓也知事からも前向きな発言がなされた。

この新型LBX~東北と走る~イベントは、レクサスのLBXがトヨタ自動車東日本 岩手工場で生産されていることを記念して行なわれたもの。ラインオフはすでに始まっており、約5200台を生産。今後、全世界60か国に向けて東北からPremiumコンパクトカーが出荷されていくことになる。

イベントには、トヨタ自動車代表取締役会長 豊田章男氏、岩手県 達増拓也知事、金ケ崎町 髙橋寛寿町長、トヨタ自動車東日本 代表取締役社長 石川洋之氏、同代表取締役会長 宮内一公氏、岩手県出身のレクサス開発ドライバー 佐々木雅弘選手が参加。世界ラリー選手権の東北開催については、イベント終了後における、豊田会長、達増知事、髙橋町長の囲み取材において言及された。

豊田会長はイベント前日、レクサス LBXを佐々木選手とともにドライブしており、岩手の道を地元出身である佐々木選手の案内で楽しんだという。豊田会長はトヨタ・レクサス車全体のマスタードライバーとして、クルマの最終的な味作りを担っており、このレクサス LBXも豊田会長の「スニーカーのようなクルマがほしい」という思いの下に開発されている。テストコースや中京地区ではさんざん走り込んでいるそのクルマを、クルマが生産されている土地でドライブしたことになる。

岩手の道についての感想を聞かれた豊田会長は、「私は、ちょうど冬の雪の後の花が咲き始めた岩手の道を昨日体験させてもらいました。もちろん(佐々木選手と交代で)運転もしましたし、佐々木ドライバーの横にも乗らせてもらいました。やはり道がクルマを作るではないですが、クルマ作りには相当よい道だなというのを改めて感じさせてもらいました。だから心の底では、ぜひここでラリー競技のご計画いただくといいのではないかなと。今ジャパンラリー、WRCも愛知県中心にやっておりますけれども、日本の風景というのが全世界何億レベルで世界に届いております。そういう意味では、ぜひこの復興の後の日本の姿、この美しい青空と岩手山、そして今は桜。こんなに桜が多いのかと思うぐらい、桜の美しい景色を全世界の方に見ていただくよいチャンスとしてラリー競技、モータースポーツは活用できるんのではないかと思っております。これはまた、世論が必要ですから、ぜひともいいニュースをたくさんだしてほしいと思います」と語り、世界ラリー選手権の開催について言及。

東北地区の世界ラリー選手権開催については、2023年7月にTOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ利府の大会名誉会長である利府町長 熊谷大氏が言及。「WRCは、私たち利府町だけでできるものではありません。本日は、周辺自治体の首長のみなさまにも参加していただいております。ラリー大会の素晴らしさを近隣市町村と共有をさせていただき、WRC開催の一歩を踏み出してまいりたいと思います」とあいさつで語っているほか、豊田会長は社長時代に参加したラリチャレ利府で「いつか東北地方でWRCを開きたい」と取材に答えており、今回の豊田会長の発言は深い思いのもとになされているのが分かる。

岩手県 達増知事は、歴史を踏まえてラリー開催を受け止め

中京地区で行なわれたラリージャパン2023の来場者数は、沿道応援を含め53万6800人(有料観客席来場者数:合計9万300人)。世界選手権のため、億に達する人が、その放映を見ている。豊田会長は社長時代に、震災復興のため寄付ではなく、仕事を作ることを決断。トヨタ自動車東日本を東北の地に設立し、トヨタ学園も含めて世界的な人材、自動車生産の地として地元とともに育ててきた。その結果、現在の岩手県の特産品出荷額の1位は自動車となり、25%を占めるほどに。復興の象徴となった「アクア」をはじめ、トヨタが「もっといいクルマづくり」に取り組んだ結果でもあるのだが、豊田会長の「町いちばんのクルマ屋になる」を実践し、「地元に税金を納める」ということを実現している。

ただ、世界ラリー開催においてはリエゾンなどに公道を使用することから、地元の協力が欠かせない。地元の人たちが本気で招致を行なわないと、実現するのは難しいだろう。

囲み取材に対応した岩手県 達増知事は、「(岩手は)昔は全国有数の馬産地、今は全国有数のクルマ産地。(クルマが)山を駆け巡るというのは県民のみなさんもよろこぶんじゃないかなと思います」と、ラリー開催に前向きな姿勢を示した。

「新型LBX~東北と走る~」イベント終了後の記念写真

© 株式会社インプレス