フォーミュラEシーズン10 第7戦イタリア・ミサノ 日産ローランドが痛恨のバッテリー切れで優勝を逃す

ABB FIA フォーミュラEシーズン10の第7戦、イタリア・ミサノで前日の第6戦に続いてのダブルヘッダーで開催された。

前日の第6戦では、ダ・コスタの優勝取り消し、失格という波乱があった。これは、マシンレギュレーションに絡むもので、Gen2では使用部品となっていたものが、Gen3マシンでは使用パーツリストから除外されており、そのパーツ、アクセルペダルのリターンスプリングを使用したために失格となった。しかしなが、パーツリストから削除したことの通知や、なぜ、今のタイミングで?という疑問もあり、ポルシェチームは裁定を不服とするのは当然であり、この先どうなるか不明瞭だ。

左)2位のジェイク・デニス、(中)チャンピオンシップをリードするパスカル・ヴェアラインが優勝(右)ニック・キャシディはチェッカー寸前で3位を獲得

さて、第7戦は前日とおなじミサノのパーマネントサーキットで行なわれ、周回数は26周に減って競われる。通常同じコースの場合、逆走にするケースもあるが、パーマネントサーキットだとエスケープや安全性の問題から逆走は難しいようだ。また周回数を変更するのもエネルギーマネージメントのデータが同じものが使えないようにするためのアイディアで、新たなプログラムを必要としているのだ。

さて、注目は日産のオリバー・ローランドだ。第6戦が繰り上げでの優勝となり、シリーズランキングもヴェアラインを抜いてトップに立った。また同じ日産パワートレインを使うマクラーレンのヒューズ、バードにも期待がかかる。そしてジャガー、ポルシェ以外のパワートレインも好調になり、DSやZFといったPTを搭載するチームも注目したい。

グループ予選のA組ではニック・キャシディ/ジャガー、ロビン・フラインス/エンビジョン・ジャガー、ニコ・ミュラー/アプト・ZF、そしてジャン・エリック・ヴェルニュー/DSペンスキーがデュエルスに進出した。

B組はジェイク・ヒューズ/マクラーレン・日産、パスカル・ヴェアライン/ポルシェ、サム・バード/マクラーレン・日産、ストフェル・ヴァンドーン/DSペンスキーが進出。

このようにジャガー、ポルシェ、日産、DS、ZFのPTが活躍しているわけだ。

デュエルスでは、決勝がヴェルニュー/DSペンスキーとヒューズ/マクラーレン・日産が戦い、ヒューズが今季初ポールポジションを獲得した。ヒューズはFE参戦2年目で3回目のポールポジションだが、まだ優勝は経験していない。またセミ・ファイナルではミュラー/アプト・ZFとキャシディ/ジャガーの一騎打ちで、キャシディのトラックリミット違反(4輪脱落)があり、タイムが抹消されている。

ポールポジションはマクラーレン・日産のジェイク・ヒューズが今季初ポールを獲得した

決勝のポイントは、まず、コースレイアウトからブレーキ回生が非常に難しいコースであるため、序盤から中盤にかけてラップタイムが遅く、予選のポジションは関係ないほど誰にでもトップに立つチャンスがあることと、もちろん、回生効率が悪いが故に、エネルギーマネージメントが重要になるのだ。

レースは26周。3.381kmでアタックモードは8分間で2回に分けて消化する必要がある。2分+6分、4分+4分、6分+2分の組み合わせのどれかになる。

決勝のグリッドでは第5戦までランキングトップだったヴェアラインが3番手からスタート。序盤好調だったキャシディは8番手から。そしてこれまで全戦でポイントを稼いでいるギュンターが12番手からのスタート。ランキングは3位で東京大会で優勝しており、マセラティは好調を維持している。

日産のもう一台サッシャ・フェネストラズは13番手スタートで、前日のポールポジションだったミッチ・エヴァンスは15番手からのスタート。そして、前日の優勝取り消しの不運にあったダ・コスタはなんと最下位の22番手スタートなっている。

エネルギー回生が難しいコースだが、スリップストリーム効果は0.8%エネマネのサポートになるということで、前日は3ワイド、4ワイドの展開で接触が頻繁に起きていたが、2日目のレースではどうなるのか。

決勝スタート

スタート。ポールのヒューズ、セカンドローのヴェルニューがトップ争いをするもクリーンに展開していく

スタートはクリーンに始まり、順位入れ替えは前日に続き激しいものの、接触は少なく3ワイドへの展開も抑えめで始まった。想定どおり、序盤のラップタイムは遅く予選より10秒以上遅いラップタイムで走行しているため、予選順位が後方のマシンもスルスルっと中団あたりまでに入ってくる。

一方、8番手スタートのキャシディは6周目には悠々とトップに立つことができ、早々とアタックモードを2回使って消化していく。中盤に差し掛かると、ミュラー、ヴェアライン、キャシディ、ローランド、ギュンターがトップ集団となり、アプト・ZFのミュラーがトップを引っ張る展開も新しい景色だ。

ニコ・ミュラーが先頭でレースを引っ張る景色は新鮮だ

終盤に差し掛かるとローランドがトップに立つ。ヴェアライン、デニス、ミュラー、ギュンター、キャシディというシリーズランキング上位選手がトップ集団を形成する。

日産のローランドがポルシェ・ヴェアラインを抑え連勝かと思われたが、このあと、電池切れを起こしチェッカーを逃してしまう

しかし、残り3周という段階でローランドのバッテリー残量が他チームより2〜3%少なく、10%を切っているのだ。ライバルは12%の残量であるのに、最後まで持つのか?

そしてファイナルラップ。ローランドは最後の引き離しをかけ、2番手ベアラインに1.3秒もの大差をつけて逃げた。が、心配した通り、バッテリー切れを起こしチェッカーを受けられなかった。

ヴェアラインが今季2勝目。今季初の2勝したドライバーとなった

優勝はヴェアラインでシリーズポイントでもトップに返り咲いた。2位デニス、3位キャシディ。キャシディの3位も壮絶で、最終コーナーはミュラーに次いで4位。そこからフルスロットルでゴールライン直前でミュラーを交わして表彰台を獲得した。その差0.05秒だった。

またこれまで低迷していた日産のサッシャが6位フィニッシュも5位のヒューズに5秒ペナルティとなり5位に繰り上がった。電池切れを起こしたローランドは、残念ながら19位フィニッシュとなった。

これでシリーズトップはヴェアラインで89pt、2位が前年チャンピオンのデニス。同点の89ptだが、優勝回数で2位。3位にローランドで80pt、4位キャシディ76pt、5位ギュンター65pt、6位ヴェルニュー53pt、7位エヴァンス52pt、8位バード37pt、9位ヒューズ25pt、10位ナトの23ptというまだまだ僅差の展開になっている。

次戦は4月27日モナコで開催される。F-1で有名な市街地コースはマシンサイズ的にフォミュラEに最適とも言われており、大混戦のシーズンはまだまだ続く。

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