清水建設、建設現場の点検作業に屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」を導入

by ドローンジャーナル編集部

2024年4月16日、ブルーイノベーションは、 建設現場における点検作業の安全対策として、清水建設が屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」を導入したことを発表した。

建設業界では、2024年4月より労働時間の上限規制が適用されるなど、働き方改革やデジタル化が推進されており、建設現場では生産性向上への貢献が期待されるドローンやロボットなどのIoT機器の活用が進んでいる。

清水建設の建設現場では、施工状態に不具合がないかを確認する工事終了前の検査や、建物の維持管理のため施工後の定期点検作業を行っている。検査や点検作業には、酸素欠乏症の危険を伴う地下ピット内や、足場を使用しないと点検できない高所など危険を伴う場所もある。

同社は点検作業の安全対策としてドローン開発検討等も行ってきたが、GNSSやコンパスの入らない屋内の地下ピット内は、ドローン点検スキルを持つドローンパイロットでも安定した飛行ができず、点検は困難であった。

ELIOS 3は、GNSSやコンパスの入らない屋内でも飛行が可能で、地下ピット内部や施工中の建物内部・トンネルの中などで導入検証した結果、安全面に加えて目視点検と同等レベルの成果と作業日数の削減が可能となり、生産性やコストに寄与すると判断して導入に至ったという。

清水建設では、酸素欠乏症の危険を伴う地下ピット内作業の具体的な安全対策として、作業前日から1日かけて送風機でピットの空気が入れ替わりやすい環境にしてから、十分に換気を行ったうえで、酸素濃度計をひもでくくり付けてマンホールの上から測定を行っていた。

ELIOS 3を導入することにより、作業員は地下ピット内に立ち入ることなく、安全な場所での目視点検が可能となった。また、ELIOS 3が搭載するLiDAR(※1)により撮影位置の特定が可能になり、地下ピットだけでなくホールや劇場の天井など、足場を使わなければ点検できなかった高所などの危険な箇所での点検作業や、改修工事前の足場計画にも有効であると評価した。

※1 LiDAR:Light Detection And Ranging。レーザー光を照射して、その反射光の情報をもとに対象物までの距離や対象物の形などを計測する測距センサーの一種。

地下ピットの入口
付属ソフト「Inspector」による地下ピット内部の解析画像(左:3D点群マップ、右:ELIOS 3飛行画像)
狭い地下ピット内に侵入するドローン

ELIOS 3は、スイスのFlyability社が開発した屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種。3Dマッピング用LiDARセンサーにより点検・施設情報をリアルタイムで3Dデータ化し、位置特定が可能。最新のSLAM技術で操作性・安定性も大幅に向上し、操縦者の負担軽減と飛行時間の短縮を実現する。ブルーイノベーションは2018年に日本おける独占販売契約を同社と締結し、ELIOSシリーズを活用した点検ソリューション「BEPインスペクション」を提供している。

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