火星ヘリコプター「インジェニュイティ」、運用終了–運用チームが別れを告げる

ジェット推進研究所(JPL)の火星ヘリコプター「Ingenuity」(インジェニュイティ)運用チームは米国時間4月16日、飛行を終了したIngenuityの運用終了を確認した。

Ingenuityは探査車(ローバー)「Perseverance」(パーサヴィアランス)とともに2020年に打ち上げられ、火星で飛行技術の実証実験を実施していた。2024年1月に、ローターが破損したことで飛行が不可能となり、ミッションの終了が発表されていた

最終飛行から約5週間後の2月24日にPerseveranceが撮影したIngenuity。砂紋の頂点付近に立っている(出典:NASA / JPL-Caltech / LANL / CNES / CNRS)

火星の地上で静止状態にあるIngenuityは、Perseveranceが通信範囲外に移動するため、今後は通信ができなくなる。NASAの深宇宙ネットワーク(Deep Space Network:DSN)を通じて収集されたデータは、ミッションチームがIngenuityの運用に協力する最後の時となった。

Ingenuityは今後、移動しない探査拠点として、将来の火星探査に役立つデータを収集することになる。JPLでチームリーダーを務めるJosh Anderson氏は「Ingenuityは火星の夜を穏やかに迎えることはない」と語っている。

Ingenuityに携わるエンジニアたちは、JPLの運用室で、歴史的な通信をモニターした。彼らは、Ingenuityを静止したテストベッドとして機能させ、将来の火星探査に役立つデータを収集できるようにするソフトウェアパッチの動作を確認した(出典:NASA / JPL-Caltech)

Ingenuityは当初、最大5回の飛行ミッションが設定されていたが、最終的には72回もの飛行ミッションを達成し、火星で3年近く稼働を続けた。累計で約129分間、約17.7kmを飛行したことになる。

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JPLニュースリリース

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