Boston Dynamics、人型ロボ「Atlas」後継機を公開。完全電動式に進化

Boston Dynamics社は、油圧式の二足歩行ロボット「Atlas」の引退を発表。2013年に初公開され、身長は約1.8m、重量は約150kg。当時としては世界最高峰の技術が使われ、ジャンプをしたりバク宙をしたり、パルクールを実演したりと注目を集めた。その有終の美を飾るように、これまで見たこともないようなNG集が公開されていた。

その翌日、同社は後継モデルとなる完全電動のAtlasロボットを公開した。

この新型Atlasは、数十年にわたるノウハウの蓄積をもとに開発し、単なる研究プロジェクト以上のものを目指しているという。

公式声明によれば「10年前、弊社は人型ロボットの本格的な研究開発に力を入れた数少ない企業の1つだった」「今、ロボット業界の状況は大きく変わっている。我々の顧客はSpotとStretchで成功を収め、Atlasで次の課題に取り組むことを熱望している」とのことだ。

ちなみに声明で触れられた「Spot」とは四脚歩行の犬型ロボット、「Stretch」は移動型のボックスに柔軟なアームを搭載した倉庫用ロボットである。このうちSpotは警察犬ロボとして活躍し、地域住人に怖がられたり、立てこもり犯に撃たれたりでお馴染みだろう。

Boston Dynamicsは、親会社の韓国・現代自動車(2021年に買収)を初めとして、さまざまな顧客と緊密に協力するとのこと。現代の次世代自動車製造技術が、新型Atlasの実験場になる。今後数年にわたって実用をテストし、改良していく予定だそうだ。

公開されたビデオでは、新型Atlasは引退した旧型の遺志を継ぐように起き上がる。仰向けから両脚を巻き付けるように起き上がり、可動域が非常に広いことが確認できる。宇宙服の上に傘を被せたような旧型とは異なり、非常にスマートではある。

こうした細身でありつつも、旧型の特長だった不規則な形状の重い物体を持ち上げたり、取り扱ったりできる能力をベースにしているという。

さらに最近発表したOrbitソフトウェアに関しては「ML(機械学習)の専門家からなる強力なチームが開発しており、インパクトのあるAIを即座に市場に投入する準備が整っている」とコメント。「複雑な実世界の状況にも効率的に対応できるよう、強化学習やコンピューター・ビジョンといった新たなAIやMLツールを搭載しました」と付け加えている。

二足歩行を踏襲しながらも、人には実現できない可動域を誇る新型Atlas。実際にどのような領域で活用できるかは不明だが、今後の進展を待ちたいところだ。

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