金日成氏の「太陽」掲げず 正恩氏、内部統率に自信か

故金日成主席の生誕記念日に合わせ、金日成氏(左)と故金正日総書記の銅像が立つ「万寿台の丘」に献花に訪れた人たち=15日、平壌(共同)

 【北京、ソウル共同】北朝鮮で最大の祝日とされる15日の故金日成主席の生誕記念日を巡り、今年は国営メディアで「太陽節」の呼称がほとんど用いられず、注目を集めている。韓国政府関係者は18日、金正恩朝鮮労働党総書記が内部統率に自信を深め、祖父を神格化して威を借りる必要がなくなったためだとの見方を示した。

 例年は記念日に際し、北朝鮮メディアや首都平壌の掲示物に太陽節が繰り返し登場していた。だが今年は15日の党機関紙、労働新聞の記事の一つに登場した程度。代わりに「4月の名節」などの表現が用いられた。

 韓国統一省によると、金日成氏の誕生日は1960年代から公休日に指定され、死後の97年から太陽節と呼ばれるようになった。太陽は「唯一の指導者」を示し、神格化の一環とされる。

 今年は金日成氏と故金正日総書記の遺体が安置されている平壌のクムスサン太陽宮殿でも、最近訪れる頻度が減っていた金正恩氏だけでなく、党幹部全員の訪問が伝えられなかった。異例のことだ。

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