就寝中にトイレで起きる「夜間頻尿」…考えられる3つの原因と治し方、泌尿器科医に聞く

夜間頻尿とは

 夜の就寝中に何度もトイレに起き、ぐっすり眠れない―。毎日、1回以上トイレで起きたら「夜間頻尿」の可能性がある。加齢とともに頻度が増えるといい、福井県済生会病院(福井県福井市)泌尿器科の武田匡史副部長は「2回以上トイレで起きると生活の質が落ちるので、治療の対象になることが多い」と話す。

 「最近、夜中にトイレに行く回数が増え、全く寝た気がしない。朝までぐっすり眠りたい」。福井新聞の調査報道「ふくい特報班」(通称・ふく特)にも60代女性から悩みが寄せられた。

 武田医師によると、就寝中に1回トイレに起きる人は40代で4割、70代で6割に及び、80代以上では8割の人が2回以上起きているというデータがある。

 原因は大きく三つに分けられる。一つ目は夜間多尿。1日の総尿量のうち、33%以上が夜の就寝中に出ている状態を指す。就寝前に利尿作用のあるアルコールやカフェインの入った飲み物などをとり過ぎて起こっている人も多い。また、高齢になると脚の筋力が衰え、水分がたまってむくみやすくなり、夜間に横になると、むくみが解消されて尿量が増えるという。ほかにも、高血圧だと夜間の尿量が増え、心不全の人はむくみやすくなり夜間多尿につながる。

 二つ目の原因は、前立腺肥大症や過活動ぼうこうによって尿をぼうこうにためる力が低下すること。前立腺肥大症の人は、尿道が圧迫されて残尿が生じ、トイレが近くなる。過活動ぼうこうは、尿が十分たまっていないのに、過敏になったぼうこうが勝手に収縮、排尿しようとする病気。男女を問わず起こるが、女性に多く、40代以上の女性では3人に1人が抱えているという。前立腺肥大症だと併発しやすい。ほかにも加齢に伴ってぼうこうの大きさが小さくなることもある。

 三つ目は睡眠障害。不眠症や眠りの質が悪くて眠りが浅く、目が覚めるごとに気になってトイレに行くケースがあるという。

 夜間頻尿の治療は、「排尿日誌」に24時間の排尿時間や排尿量などを記録してもらい、原因を特定することから始める。夜間多尿の場合は、夕方以降にお酒やコーヒーといった水分をとる量を減らすことから始める。「飲水(いんすい)指導だけでも排尿回数が1回減ることが多い」(武田医師)。飲水指導でも効果がない時は、男性に限り、尿をつくらないようにする薬を寝る前に服用する場合もある。

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 前立腺肥大症や過活動ぼうこうの人は病気の治療をすることで改善することがある。睡眠障害の場合は、生活指導から始めるが、必要に応じて睡眠薬を処方する。

 夜間頻尿は、睡眠障害やうつ病につながることもある。別の病気が隠れている場合もあり、武田医師は「生活の質が落ちて悩んでいたり、気になる症状がある人は一度泌尿器科を受診してほしい」と呼びかけていた。

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