混乱するラツィオ…鎌田大地の去就は!? 「新体制下で重要な居場所を見つけている」とクラブ首脳は残留を望むが、ドイツ復帰&トルコからの関心との報道も

ラツィオが混乱に包まれている。不振の中でマウリツィオ・サッリからイゴール・トゥドールに監督が代わり、新たに巻き返しを図っていた矢先、セリエA第32節サレルニターナ戦の後、放送局のインタビューでルイス・アルベルトがクラブに対して契約解除を申し入れたことを明かした。

チームの背番号10の退団希望は衝撃的なニュースとして国内外に伝わったが、それ以前にもマテオ・ゲンドゥジとクロアチア人新指揮官との間で口論が生じ、その後の練習を欠席していたことが、後の現地報道で明らかに。さらにはフェリペ・アンデルソンも、契約を延長することなく、母国ブラジルのパルメイラスに加入することが決定している。

L・アルベルトは、「もはやラツィオから1ユーロたりとも受け取りたくない」と、強い退団の意思を示しているが、クラブのアンジェロ・ファビアーニSDは「契約とは、双方を尊重するために結ばれるものだ」と訴え、またラツィオOBであり、ナポリ時代にはディエゴ・マラドーナらとともに黄金時代創成に大貢献したブルーノ・ジョルダーノは、「彼が今、欧州でその名を知られているとすれば、それはラツィオのおかげだ。クラブが困難に陥っている時に、今回のような発言をするべきではなかった」と批判した。
ゲンドゥジの件では「彼はふくらはぎの肉離れでチームを離れているだけで、プロジェクトに不可欠な存在だ」と語ったファビアーニSDは、またF・アンデルソンについては「我々は、彼を引き留めるためにあらゆる手を尽くした」として、5年契約とチームで2、3番目に高い年俸を提示したと明かしたが、「彼が自身のプロジェクトの中心に家族(最近息子が生まれたという)を置いた時、我々にはもはや何もできることはなかった」と説明。交渉が円満なものだったことを強調している。

ファビアーニSDは、「ヴェローナやマルセイユで並外れた仕事を果たしてきた」というトゥドール監督とともに、ラツィオの新たなサイクルを生み出すため、活発に動いている最中だというが、新たにチームの中心になることを期待している選手のひとりが、新体制下での4試合中3試合でスタメン起用されている鎌田大地だ。

「鎌田はトゥドール監督の下で重要な居場所を見つけている。契約延長(2年間)のオプションを行使できるのは彼であり、5月30日に期限が切れるが、ラツィオはほとんど何もできない。最近の鎌田は優れた選手であることを証明している。現時点で彼の去就については何も決定していない。人生では、誰もが役立つ存在だが、だからといって誰ひとりとして欠かせない存在というわけではない」 ファビアーニSDはこのように語り、「我々は鎌田ともっと多くのシーズンを過ごしたいと考えている」と契約延長を望んでいるが、多くの現地メディアは日本人MFがこの要求に応える気がないこと、そして具体的な新天地候補も報じている。

ラツィオのクラブ専門サイト『LA LAZIO SIAMO NOI.IT』は、鎌田がすでに退団の意向をクラブに通知したと伝えるととともに、「来季はブンデスリーガに復帰する可能性が非常に高い。(移籍先として)ポールポジションにいるのは、フランクフルトとボルシアMGの2チームだ」と綴り、古巣クラブと彼に以前から関心を寄せているといわれる古豪の名前を挙げた。

一方で、トルコのスポーツ専門サイト『sporx』は、今夏にMFセバスティアン・シマンスキーが引き抜かれるのが確実とされる母国のクラブ、フェネルバフチェが、その代役となれる選手のひとりとして「日本のスター選手」(同メディア)に関心を寄せていることを報道。以下のように綴っている。
「フェネルバフチェは、計画通りにシマンスキーを2500万ユーロ(約41億円)で他クラブへ売却した後、このポーランド人MFの代わりに鎌田を望んでいる。情報によれば、黄と紺のクラブの首脳陣は、すでに27歳のこの10番タイプの選手にコンタクトを取っており、近日中にも新たな交渉の場を設けるという」

トルコといえば、ガラタサライも昨夏に鎌田の獲得を狙っていたが、そのこともあって、フェネルバフチェにはライバルを出し抜きたいという意思もあるのだろうと同メディアは報じている。

果たして、鎌田のイタリアでの挑戦は1シーズンで終わるのか。同国のメディアの間では、トゥドール監督の重用によって退団を考え直すのではないかという見方もあるようだが、最終的にいかなる決断を彼が下すのかが非常に興味深い。

構成●THE DIGEST編集部

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