腸内フローラは2週間で変えられる! 大豆ミート、納豆などの発酵食品…持続可能な腸のための注目フードとは?【医学博士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

食事や生活習慣を改善すると、2週間くらいで健康的な腸内フローラに変わるといわれています。そこで本稿では、長年腸内細菌を研究し続けている医学博士の内藤裕二氏による著書『70歳からの腸活』(エクスナレッジ)から一部抜粋して、持続可能な腸のために大事なことを解説します。

腸内フローラは2週間あれば変えられる

食事や生活習慣を改善すると、2週間くらいで健康的な腸内フローラに変わるといわれていますが、これには根拠があります。

腸内フローラを改善するために一番大事な食べものは食物繊維です。

私たちが行ったヒト臨床試験で、被検者に食物繊維を摂らせて調べたところ、だいたい2週間ぐらいで大きく変化しています。

もっと詳しくいうと、腸内フローラは毎日少しずつ変化しているという論文もあります。その研究によると、前日に食べた食物繊維の量によって腸内フローラが変わってくるようです。

腸内フローラの改善には高脂肪の食品を避けたほうがよいといわれていますが、高脂肪の食品を摂らせるヒト臨床試験も行われています。

その場合も、2週間ほどで変わってきます。健康な腸内フローラから、そうでない腸内フローラに変わるのも2週間くらいです。

2週間で変わった腸内フローラは、2カ月で安定するといわれていますが、これも根拠があります。前述のような研究を継続して見ていくと、2カ月くらいで変化の動きがなくなってしまうからです。

ですから腸内フローラを変えたいと思ったら、その生活習慣を2カ月は継続する必要があります。ただし残念ながら、2カ月がんばっても、それまでの食事をやめて元に戻すと、あっという間に腸内フローラは元に戻ります。2カ月たったら、あとは好きなものを食べてもよいというわけではありません。

せっかくよくなった腸内フローラを2年、3年と安定させていくには、やはり継続することがもっとも重要です。

ただ2週間で腸内フローラが変わるのであれば、本当に変わっているかどうか確認したいのが人情でしょう。

おなかの調子がよいかどうかは、便通で判断することが多いと思います。実は便通で腸内フローラの改善を調べた研究があるのですが、なかなか難しいのです。

脳と腸はリンクしています(脳腸相関)。ですからストレスがあると、腸内細菌のエサをたくさん食べても、便通が改善しない人もいます。

しかし逆にいうと、腸内フローラはさまざまな心身の変化に関わっています。例えば食生活を変えたらよく眠れるようになったとか、急にやる気が出て仕事のパフォーマンスが上がったなど、今までの生活と違った変化が起こったら、腸内フローラが健康的になっている可能性があります。

いずれにしても、心身の調子がよいと感じているなら、本章で述べる腸活法を継続してほしいと思います。

プラントベースフードを摂ろう

最近、若い人の間ではプラントベースフードというのが流行っています。これは植物性の食材からなる食品全般を指す言葉です。

ベジタリアン(菜食主義者)やヴィーガン(動物由来の食品を一切食べない完全菜食主義者)とは違い、植物性食品を取り入れるライフスタイルのことをいいます。肉を食べてはいけないという意味ではありません。

しかし、持続可能な未来のためには肉を減らしてプラントベースフードに移行していくことが人類の喫緊の課題となっています。もはや好き嫌いのレベルではないのです。

また腸内フローラのことを考えるならば、赤肉は控えたほうがよい食品です。腸内フローラを悪化させないためには、1日100g 以下に抑える必要があります。

京丹後市の高齢者が食べているのも、基本的にはプラントベースフードで、それに魚介類が加わります。

彼らは自分たちが食べているプラントベースフードを、そのまま食べるだけでなく、漬け物などの発酵食品にして、飽きさせない工夫をしてきました。発酵させると味の変化だけでなく、保存性も高まります。持続可能な健康食のモデルがここにあったのです。

プラントベースフードには、肉の代わりになる大豆ミートなどの代替肉も含まれます。

これらの食品が注目されている背景は、持続可能な社会にシフトすると肉の生産が減少し、たんぱく質の供給源が少なくなるからです。

おいしくて食感も肉みたいな大豆ミート

最近の大豆ミートは食感も肉に近づいていますし、味もよくなっています。私も食べていますし、家族にいわれるまで本当の肉だと思って食べていました。

ひき肉のように粒々になったタイプもあるので、ハンバーグや麻婆豆腐などをつくることもできます。

プラントベースフードでたんぱく質を摂るとすると、やはり大豆がもっともすぐれています。

大豆のたんぱく質は、必須アミノ酸(体内で合成できないため食事から摂らないといけないアミノ酸)をすべて含んでいます。たんぱく質の栄養評価では、卵や牛乳と同じくらいです。

豆腐や納豆などの大豆加工食品は昔から食べられていますし、みそ汁のみそも大豆発酵食品です。それに大豆ミートがあれば、十分たんぱく質を摂ることが可能だと思います。

お米の代わりになる大豆ライスというものもあります。100g あたりのたんぱく質が48.8g も含まれています。半分がたんぱく質ですから、これを主食のごはんの代わりにすれば、十分たんぱく質が摂れます。

また大豆ライスには、食物繊維も100g あたり13.4g 含まれています。持続可能な腸活におすすめの食材です。

ごはんのように炊くタイプと、電子レンジで解凍して食べるタイプがあって、私は後者を試したことがありますが、サラサラのお米みたいな食感でおいしく食べられました。

内藤 裕二

京都府立医科大学大学院医学研究科

教授/医学博士

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