情報技術者の顔も持つ歌手・野口五郎が考えるSDGs――「引き継ぐべきは豊かさ」「アナログを置き去りにしない」

野口五郎が、BS-TBSで4月28日放送のSDGs関連番組「Style2030 賢者が映す未来」(日曜午前10:00。通常は第3、同回は第4日曜)にゲスト出演する。

「Style2030」は、流通経済大学副学長・教授であるジャーナリスト・龍崎孝氏がホストを務め、さまざまな分野の第一人者をゲストに迎えて、SDGsの達成期限である2030年に向けて、われわれがどう思考をリセットし、どう暮らしを変えていけばいいのかを語るトーク番組。

ゲストは、SDGs17の目標から二つを選んでトークしていくのだが、野口は今回「全部」を選んだ。歌手活動54周年のキャリアを重ねてきた一方で、複数の特許を持つ情報技術者として意外な一面を持っている野口。そんな彼は、QRコードをスマートフォンに読み取ることで、ライブなどのコンテンツを視聴できるサービス「テイクアウトライブ」を開発。20年にはそのアプリをベースに新型コロナウイルス感染者の発生を通知するアプリ「テイクアウトライフ」を開発した。さらに、音楽に“豊かさ”を加えるDMV(深層振動=人の耳には聞こえない低音や低周波の音)のアプリを提供している。そんな野口の提言は「未来へ引き継ぐべきは豊かさ」と「アナログを置き去りにしない」ということ。

野口が13歳の頃に書いた譜面や、作曲家・米山正夫さんが書いた譜面を実際に見ながら、そこに込められた筆圧や言葉は、「今見ても、そこに生きているかけがえのないものだ」と語る。デジタルが進んでいく社会でも、手間がかかるアナログを残し、若い世代が気付いていないことをそっと添えるのが使命だと言う。龍崎氏は、それはまるで、陰ながらに活躍する“スーパーヒーロー”みたいな仕事だ」と例える。

また、ゲストの活動の源になっていることを紹介するコーナー「わたしのサステナ・エンジン」では、上京して初めて住んだ場所である東京・浅草をピックアップした野口。13歳の頃に誘い込まれた“ある場所”や、浅草で幼少期に書いてもらった似顔絵も公開。過去を振り返っている中で、父親との昔話にも言及する。

現在、大学の教授らと脳の活性化や認知症治療の有効性が期待されるDMVを共同研究中で、「音楽で世の中を豊かにし、恩返しをしたい」という野口が語る、SDGsな未来とは?

野口は収録を終え、「普段、テレビでしゃべらないようなことだったので、自分では『いいのかな?』と思いつつ話をさせていただきました。途中でどこで歌を歌うんだろうと思っていたのですが、歌うこともなく、最後までずっとしゃべっていました」と冗談を交えつつ、「普通のトーク番組でもないし、自分の考えていることや自分の思っていることをお話できて、今までにはなかった自分の側面や、人に言うこともなかったようなことを言えたのですっきりしました。楽しかったです」と振り返っている。

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