難局乗り切ったJ1アビスパ福岡・長谷部監督の周到な準備 ルヴァン初戦PK戦1番手のキッカーになぜルーキーを起用したのか

選手の動きを見る福岡・長谷部監督(撮影・西田忠信)

連覇が懸かるYBCルヴァン・カップ初戦でJ3松本山雅を破ったアビスパ福岡は18日、激戦から一夜明けて福岡市の雁の巣球技場で行った練習を公開した。敵地で戦った17日の試合では先制を許し、1―1で臨んだ延長戦も決着が付けられない大苦戦。PK戦は福岡の全キッカーが決めて4―2で勝ち切った。

長谷部監督は「やられそうな空気もありましたけど、オウンゴールだけにとどめられた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

PK戦では1番手にボランチ重見柾斗が登場。キッカーやその順番について長谷部監督は「私は自分で決めます。いろいろなものが懸かっているから」と説明。「チームでPKの練習はしています。自分の目で見て、入れる可能性が高い選手を蹴らせています」と信頼を寄せて大卒ルーキーを指名したことを明かした。

「自信があったのでそんなプレッシャーはなかった。1番(手)か5番が良かったので」と振り返った重見が冷静に右隅のネットを揺らすと、松岡大起、紺野和也、ウェリントンがきっちりと決めた。5番手は前嶋洋太の予定だったという。

福岡は松本戦の前日だけではなく、PK戦がないリーグ戦の試合前日もPK練習を行っているという。「試合中にPKがあったりするじゃないですか。そういうことも含めて。キーパーの練習にもなりますから」。GK永石は2本をセーブ。PK戦の〝完勝〟は積み重ねの結果だった。

ホーム広島戦から中3日で臨んだ松本戦。さらにチームは中2日でホーム磐田戦(20日午後3時キックオフ、ベスト電器スタジアム)が待つ。過密日程の中、来季加入が内定している特別指定選手の橋本悠(福岡大4年)を松本戦の前日の練習から呼んだ。

しかも、松本戦はウイングバックが本職の橋本をセンターバックで起用。これにも長谷部監督は「キャンプで一緒に練習をした時に実はあのポジションで練習試合もやっているんで」と長谷部監督はこともなげに話した。

チームは松本と敵地で戦った後に愛知県へ深夜移動。18日早朝の便で福岡に戻って磐田戦に向けた準備を始めた。

初めて経験する前回王者の重圧、下位カテゴリーとの負けられないPK戦、過密日程。さまざまな難局を周到な準備で乗り切った。(向吉三郎)

© 株式会社西日本新聞社